祝福のつもり[2]「わ、私のことよりナマエはどうなのよ?!」
羞恥心ゆえに強くなった語気で、カリーナはナマエに詰め寄った。
「私がなに?」
ナマエが、こてりと首を傾げる。
「アナタとハンサムよ。よろしくやってるの?」
カリーナに乗っかる形で、ネイサンも好奇心を押し出した。
2人とも、ナマエとバーナビーが付き合うことになるとは思っていなかったのだ。
だから2ヶ月前、突然ナマエが彼をバーニィと呼んだ時は大層驚いた。
「よろしくって…、まあ普通に付き合ってるけど」
ナマエは呆れて苦笑い。
「まさかナマエがハンサムと付き合うなんて思ってなかった。どこがいいの?」
まるで、どこに良い所があるって言うの、みたいな口調でカリーナに問われ。
ナマエはクスクスと笑う。
確かに、彼の外面だけ見ればそう思うだろう。
仕事としてメディアに映る時は愛想を振り撒いているが、普段は割と辛辣で可愛いげがないし。
見た目は合格だろうが、性格はかなりの難ありだ。
「なんか面倒くさそう」
カリーナの呟きに、ナマエの笑いは一層深いものとなった。
「うん、確かに面倒くさいかもね」
こんなこと本人に聞かれたら怒られるだろうけど、とナマエは楽しげに。
食後に出されたティラミスを頬張った。
「で、だからどこが好きなのよ?」
焦れたように、ネイサンが身体をくねらせる。
「ん―、どこがっていうか…」
ナマエは難しげな顔をした。
「まさか、全部とか言うわけじゃないよね?」
カリーナが嫌そうに顔を歪める。
「言わないって。どうなのってくらい子どもっぽかったり、厄介なとこもいっぱいあるし」
そう言って、紅茶を一口。
でもね、とナマエは微笑む。
「結局、バーニィだから好きなんだよね」
ネイサンもカリーナも、その時ナマエが見せた笑みを、きっと忘れないと思った。
それは、とても美しくて。
愛情に溢れていたから。
「…あーあ、惚気られちゃった」
カリーナが、そう文句を言うけれど。
彼女は嬉しそうに、ネイサンと目を見合わせて笑った。
なんだかんだ言いながら、この仕事馬鹿みたいな友人は幸せらしい、と安心して。
その後も、女子会は夜まで盛り上がった。
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