それからの私は紅葉の元で、療養を始めた。 任務に出かける中原は必ずお土産と称して、甘味を買ってきた。今日は金平糖と言う名の砂糖菓子。この間はカステラ、どら焼き、いちごのタルト、シュウクリイム。中原曰く、無表情でいることが多いけど、甘味を食べてる時は少しだけ頬が緩むらしい。自分でさえも気づかない変化だ。
「どうだ?うまいだろ。」
「…はい」
「…あとな、任務帰りに広津がいつも立ち寄る珈琲屋に寄ったんだけどな、そこのクリームソーダって飲み物がな、すごくてな。今度一緒に行こうな」
「…クリームソーダ?」
「おう!緑色のシュワシュワしてて上にバニラアイスが乗ってるんだ。甘くて美味しい、きっとテメェも気にいる」
「クリームソーダ…」
「ほれ、中也。今度と言わず、すぐ行けばいいじゃろ?」
「あ、姐さん!聞いてたんですか。」
「結構前からいたがのう…ほれ、英李も興味津々じゃないか。ここはデエトにでも連れてってあげなんし」
「………じゃあ、明日だな、ちょうど任務もないし、それに他に連れて行きたいところもある」
「じゃあ英李、わっちが明日はおめかししてあげるぞ」
▽▽▽
「ほれ、どうじゃ?可愛く仕上がったじゃろ?」
「いや、元々可愛い…ってそうじゃなくて」
「照れるでない…ほほ」
揶揄う紅葉に頬を赤くして、中原は私の腕を取る。
「時間が惜しい。行きは少し走るからな」
「………え」
走った末に辿りついたのは、遊園地というところらしい。円形のすごい高い物体が回っているし、馬を模したものがクルクルと愉快な音と共に動いている。
「ひぇ……」
「はは」
熊が手を振って駆け寄ってきた時には思わず悲鳴が漏れた。どうやらこの遊園地のマスコットキャラクターのテディくんというそうだ。
そこからは手を引かれるままいろんなアトラクションなるものに乗り悲鳴をあげたり悲鳴をあげたり。
「お前、ビビってばっかだな。もっと笑うと思ったんだけどな」
「………ごめんなさい」
「いや、謝らなくていい。それに今まで無表情のやつがいきなり笑ったらそれこそ驚くしな…って、そろそろ最大の目的のクリームソーダ行くか」
「……はい」
海沿いの道をゆったりと歩いて行くと目的のお店があったのか、ドアを開ける中原の後ろからそっと店内を覗き込んだ。
「おや、珍しいね。今日は女の子と一緒なんだね」
「おう、クリームソーダ飲ませてやりたくて」
「そうかいそうかい。可愛いお嬢さん。名前はなんていうのかい?」
「………英李」
「英李ちゃんか。素敵な名前だな。好きな席に座って待ってておくれ」
「おう。どこがいい?」
「………海が見えるところ」
「じゃあここだな」
窓際はカウンターになっており、窓の奥には先ほど歩いて来た時に見えた海が見える。ちょうど夕日が落ちる間際でオレンジ色の光が反射して幻想的な風景だった。
「はい、お待ちどうさま。今日は特別なさくらんぼ2粒入っているよ」
「…………綺麗」
「飲んでみろよ」
「……うん」
恐る恐る口をつける。「………美味しい」
「……!」「おやおや。笑うとより可愛くなるね」
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