慌てて敦と鏡花の後を追うと、なんだかいい雰囲気になっていて。
「デート?あなたと?」
「わ!わ!特に深い意味はなくて……!!」
2人して中華街門の入り口で頬を赤くして俯いている状況はもはやただの恋人同士。
それから観光スポットをひたすら歩き回る2人に声をかけたのは、ゲームセンターでウサギのぬいぐるみと格闘していた時だった。なかなか取れそうになくて100円玉をかなりの枚数消費してる敦に痺れを切らしたのが先だった。
「お姉さんに任せなさい!!!!」
そう言って100円でウサギのぬいぐるみを獲得すると、2人から笑顔でお礼を言われた。
「英李さん、いたならもっと早くきてくださいよ〜」
「ごめんね、流石にデートに乱入するほどの勇気はなくて」
「欲しいぬいぐるみも手に入った。あともう一箇所行きたいところがある」
そう告げる鏡花の目線の先には、交番。
35人殺し生きているだけで罪だと、自分は居場所がないと呟く鏡花にかける声が見つからない。その瞬間、横にいた敦から発する衝撃音。道路を染め上げる鮮血。慌てて後ろを見やると、そこにはポートマフィアの芥川龍之介。太宰や国木田から、写真を渡された彼には関わるな、と念を押されていた男が立っていた。
敦は意識はなく、腹には芥川の異能が突き刺さっていて、血が滴り落ちている。そのまま、大型トラックに放り込まれていく。
「…ちょ、待って!!」
「………貴方はこちらだ。」
そのまま私の視界は黒く染まって、意識は途絶えた。
−−
太宰は両手首に嵌められた枷を見やり、そろそろ頃合いか、と思案する。
「おい、本当に手の拘束だけでいいのか?」
「上からの命令だ。幸い意識もないし、床に転がしておけばあとは上が拷問でも何でもするだろう」
階段から足音が響く。
(なんだ?この気配は3人?)
ポートマフィア下級構成員2人に抱えられてきたのは、どうやら意識がないらしい女性で。
乱暴に床に落とされた人は、太宰もよく知る彼女で。
「…ねぇ、君たち、そこの女の子は一体どうしてここにいるのかな」
「あんたに話すことはない。」
「へぇ、私に話さないと…?」
「くっ、上の方が人虎を捉える際に一緒に連れてきたんだ。おい行くぞ」
恐らく顔は知れているのだろう、ひと睨みするだけで意図も簡単に情報を吐く構成員に、ポートマフィアの落ち度を感じる。
「はぁ、こんな場面を中也に見られたらどうなるか……って……げぇ、中也」
「おいおい、太宰。これは一体どうなってやがんだ??なんで英李が倒れてやがる」
「これは私も流石に予想外だったよ。いや、しかし全然変わらないね?」
「はぁ!?!?」
そこで一言、その言葉は中也の逆鱗に確実触れたのであった。
「前から疑問だったのだけど、その恥ずかしい帽子はどこで買うの?」
←
→
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -