「 4 イルカ先生目線 」

*イルカ先生視点
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 教員を続けていると、もちろんストレスもあるが、それよりも生徒の成長を実感できるという喜びの方が大きい。
 今も、教科書を音読しながら教室へ一瞥をくれると、俺の授業を真面目に聞いてくれている生徒たちが映る。とくに春野サクラは真面目で、俺の言葉を一切聞き逃さないつもりでいつもメモを取っている。他にも日向ヒナタなど真面目な生徒はたくさんいる。

 今年度俺が持つことになったクラスには、名家の子息がたくさんいて、なにかのトラブル(誘拐事件など)に巻き込まれるんじゃないか、ちゃんと俺は彼らを守りきれるだろうかと正直不安でいっぱいだったが、
 幸運なことに、それは杞憂で終わった。
 なぜか、あんなに起きていた誘拐未遂事件や誘拐事件が、入学と同時にぱったりと止んでしまったのだ。
 まぁ、だから、トラブルは一切起きず、無事にこのまま卒業まで持って行けそうだ。

 ――だから、問題は、あいつだけなんだよな…。
 ちらり、とナルトの方を見やる。
 彼は今日、お昼に来るという大遅刻をかました上に、現在、熟睡中である。
 ナルトは俺にとって特別思い入れのある奴だ。ナルトは特別な身の上で、他の子よりも何十倍もの苦労を背負っている。俺は彼を支えてやりたい。…父親のような存在になりたいと思っている。だからこそ、きちんと勉強し、無事に卒業させてやりたいという強い気持ちがある。

「こらっ! ナルト!」

 手近にあったチョークを彼へ投げつける。

「いってぇ!」と飛び起きるナルト。「なにすんだってばよイルカセンセー!」

「何してるんだはこっちの台詞だ! 遅れてきた上に爆睡なんてどういうつもりだ! お前も一緒に立ってろ!」

「え? 誰と?」

「シカマルとだよ! お前が寝てる間に俺が廊下に立たせたんだよ!」と言って勢いよく廊下を指さす…が、

「誰もいないってばよ〜」
 ニシシと笑うナルトの声がする。

 ――あいつ…また逃げたのか…
 頭を抱えた。

 おれのクラスは、名家の子息も多いが、問題児も多い。あ、問題児と言っても、愛着があるから、俺は好きなんだがな。他の先生によく心配されるが、俺はあいつらが好きだ。でも、真面目になってくれないのは困る。ナルトなんて何年留年する気なんだっていう…。

「ハァ…」ため息が漏れた。

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