小説 | ナノ





「たんじょうび?」

 不思議な単語を聞いたような顔で、銀時は小首を傾げた。

「そうだ」

一見は重々しそうに桂は頷いた。
その様子にぱちくりと銀時は瞬く。
たんじょうびとは、そんなに大事なものなのだろうか?と言わんばかりの表情に
「忌々しいが、祝い事ではあるから仕方ない」と桂が言った。
「たんじょうび、って祝い事なんだ」
「ああ、生まれた事を祝う日だ」

桂の言葉にふぅんと気の無い返事を銀時は返した。
生まれた事を祝うとはどんな事だろう、とは思うものの自分が祝われると言う事を知らない子供は実感が全くない。

「ふぅん」

やはり、実感のなさそうな表情に桂は「兎も角祝い事だ」と話を完結させた。

「で、なにするの?」

分からないながらも、そうかー祝い事かー、うまい飯食えるかな?と思いつつ銀時は桂に聞いた。

「そうだ、そこが本題だ」
また頷き桂は言う。

「誕生日には贈り物をするから、銀時はどうするのかと思ってな」
「贈り物ぉ?」

げぇ、メンドクセーと言う分かりやすい表情を晒す幼馴染みに、あいつは取りあえず祝ってやらないと拗ねるぞ、と桂は忠告した。
拗ねたら拗ねたで面倒くさい。
どうしたものか、と銀時は天を仰いだ。

高杉さん誕生日おめでとう。

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