小説 | ナノ
「あのね、お兄さん。俺この間任務でなんとか星に行ったんだけど、その星に銀色の髪をした男がいたんだ。目の色はお兄さんと同じじゃなかったけど、天パ具合とか、雰囲気が似ていたから声をかけて一戦交合えたんだけどさ、その男弱くて弱くて直ぐに死んじゃった。やっぱりアレだね、お兄さんと同じ銀髪でも、弱いんだね。お兄さんに出会ってから銀色=強いってイメージが付いちゃったから、その時はガッカリしたよ。 でね?ここから本題に入るんだけど、その男の他に同じ髪色をした子供が2人いてね、子供だから殺すのはやめようと思ったんだけど、子供が俺に襲いかかってきてさァ、止めようとしたら勢い余っちゃって殺しちゃった。あはっ、やっぱり地球人もそうだけど、他の星の奴らも弱いんだねぇ。夜兎と匹敵するぐらいの生き物いないのかなぁ?居ないのなら、作ればいいよね。あ、ごめん話変わっちゃったネ。で、さっきの続きなんだけど殺した後の気持ちがおかしくてね?いつもなら血を浴びて気持ちが高ぶる筈なのにその時は何も起こらなくて。逆に心が冷えたっていうか、どうしようもなくてその辺にいた生物を片っ端殺したんだヨ。そしたら阿伏兎にさぁ、任務に関係のない奴を殺すんじゃねぇよこのすっとこどっこい!って怒られちゃった。あははっ全く滑稽な話だよねぇ。でね?任務終わったらお兄さんの顔が脳裏にチラついてさ、逢いたくなって来ちゃった」
そう言って男はニッコリと笑みを浮かべた。 ―――行き成りだ。 夜中にも関わらず万事屋に入り込んで寝ている俺の上に跨って壊れた人形みたいに言葉を吐き続けた。 何事かと思って目を覚ました俺が見たのは、桃色。 その色で人物は把握出来たが何を言っているのか、どうして覆いかさぶっているのだろうか、理解出来なかった。
男――神威は話終えると笑みを浮かべて顔を俺の首筋に埋め、ペロリと舐め上げた。 驚いて身体がビクリと跳ねたが、気にしなかった。そんなことはどうでもよかった。 コイツは神出鬼没で、現れたと思ったら行き成り俺の唇に食らい付いたり、身体を触ったりするもんだから最初は抵抗があったが今は慣れ、身を任している。 神威が地球(ここ)にくるのも、俺に会いに来るのも全ては神威の気まぐれなのだから。
神威は面倒臭いことを考えている俺を気にせずに進めていた。 首にあった手は今胸を通り抜き、腹筋まで到達している。ちょ、もしかしたらこいつヤる気なんじゃねぇ?これ、やばくね?銀さん眠いんだよ?明日に限って仕事も入ってるし、疲労も出るだろうから今日は早く布団に着いたというのにこれじゃあ意味がない。
「かむ――、ンぐ、」
「黙って」
行為を止めるように言いかけた口を神威は左手で抑えた。空いている手で神威を払おうとするが神威の腕の力は固く、強かった。神威の白く細い腕を掴むが直ぐに引き離されて意味がなかった。 無意味の抵抗をしている内に神威はズボンに手を掛けた。
「んん゛―――!!!」
ジタバタと暴れて神威に蹴りを回すがそれを気にした様子もなく神威は容赦なくズボンを引き摺り下した。だが、
「っな、何すんだコノヤロォオオオ!!!」
俺は勢いよく神威に頭突きをかまし、目に見えない早さでズボンを引き上げ、叫んだ。 神威は笑顔を崩さずに頭を押さえてこちらを見つめていた。
「……て、てめぇ神威!行き成りなんつーことしてんだァアア!!」
「何ってナ「ウルセェエエ!そんな在り来たりなことは聞きたくねぇんだよ!!」
「じゃあ何?」
神威は目を細めて淡々と言った。 平然としている神威に言葉が詰まった。何か言いつけようとするが言葉が見つからず金魚のようにパクパクと口を開けては閉め、開けては閉め、それを繰り返しているとプッ、と吹き出す音が聞こえ神威に視線を向けた。
「ははっ、顔真っ赤になっちゃって。タコみたい」
「何だとゴラァ!!」
怒鳴る俺を無視し、神威は俺の頬に手を添えた。はっとすると神威の顔が目の前で、唇に何かが当たっていた。
これは、
「………ねぇ。お兄さんは簡単に死しないよね、」
「………」
キスされていると気がついた時には唇は離れ、抱き締められていた。何事かと神威を横目で見るとそう問われ顔を顰めた。 ヤるのかと思えば笑いだし、油断しているとキスし抱き締める。一体何がしたいんだ。元々何を考えているか分からない奴だったけれども、今日のコイツは一段と変、不思議くんだ。
「今思えば、あの時の俺は焦っていたんだ。あの男はお兄さんじゃないのに、無意識に俺はあの男をお兄さんに重ねて見ていて、だからその男を殺した時心が冷えて、固まって、悪寒を感じたんだ。あの男のように、お兄さんが呆気なく死んじゃったら、真っ赤な血を噴きながら倒れ動かなくなって冷たくなったらどうしよう、なんて思うようになって。そう思ったらそわそわして落ち着けなくなって。どうしようもなくお兄さんに会いたくて会いたくて「神威、」
神威の目から大粒の涙が零れ落ちた。それをみ、居た堪れなくなった俺は神威の口を手で軽く塞ぎ、上を向かせた。
「もう、いいから」
声が、擦れ、震えていた。不安を感じ戸惑いを隠せない神威を初めて見、辛いと感じた。 苦い表情を浮かべていると神威はふるふると顔を横に振って拒否を示した。
「…銀ちゃんは…死なないよね…?」
「………………ああ」
嘘を付いた。 人は、生物いつか死に一つに還る。だが、今の神威を見たら何も言えなかった。拒否する勇気が、なかったのだ。
「じゃあ……銀ちゃんは…俺に殺されない…?」
「…ああ。お前に殺されてやるほど俺は優しくねェよ」
――と、神威に告げると涙を零しながら嬉しそうに微笑んだ。
「銀ちゃん大好き」
重なってくる唇を拒まず俺はそれを受け入れ神威を強く抱きしめた。すると神威も俺が生きているのを確かめるように口づけを深くし、力強く抱きしめた。
生きていると、確かめさせて
( この温もりがこの先も消えませんように )
――― 威銀んんんんん!!!神威くんが素敵過ぎます、銀さんクーデレですか、わかります^^← 神威くんの銀さんへの愛がひしひしと伝わってきています(現在進行形) 素敵な小説をありがとうございました!大好きでs
九藤様より
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