まーた見てるぜ。

多分無意識なんだろうな。まるで生気を奪われるかのようにただ真っ直ぐに。どんだけ見れば気が済むんだ。

甲板のでチョッパーと遊んでるあの子から目が離せないルフィに何故かイライラして、おれは氷の入った特製トロピカルジュースを頬に押し付けた。


「わ、つめて!なんだよ、サンジか」


返事をしないまま煙草の煙を肺の外へと吐き出す。ジュースとおれの顔を互いに見合わせて不思議そうに言った。


「くれんのか、サンキュ」


おれを見た目は心なしかまだぼーっとしてる。うまいなーとごくごく飲みながら見つめる先はやっぱりあの子。ただ眺めてるのか、見つめてるのか。

多分この船のだいたいの奴が気付いてる。だが、こいつの性格なら分かる。気に入ったもんや好きなもんがあれば何も考えず突っ走って手に入れる。立場なんかも取っ払ってな。


「ルフィ、おまえ。好物の肉が目の前にあったらどうする」

「ん?そりゃ喰うに決まってんだろ」

「…だよな」

「ジョーシキだぞサンジ」

「だったら、」

「ん?」

「…いや、やっぱいい」

「サンジ」


煙草を吸い込みながら隣の奴を見れば、まだあの子を見つめてる。その顔がやけに切なそうに見えたのはおれだけなのか。


「おれはな、船長だ」


船長だったらクルーに心配させんじゃねえよ。


『あーっルフィ!美味しそうなもの飲んでるー!』


微笑みながらやってきたのは噂のあの子で、ルフィを見れば、まあ…おれも人のことは言えないがもろに幸せオーラ溢れてんじゃねえかコイツ。


「にしし!いいだろ!サンジ特製だぞ」

『いーなーわたしも飲みたい!』

「これはおれのだからダメだぞ!」

『ルフィのけちー』

「にしししし!」

『サンジくーん…』

「はいはい、これ名前ちゃんの分な」


顔を赤くした名前ちゃんがなんとも可愛いらしくて、こいつにはもったいねえな、とも思うが、

こいつを笑顔に出来んのはきみだけなんで、よろしく頼むな。お二人さん。




「サンジくん、わたしにもあれ貰える?」

「すまないナミさん…、あれ一つしか作ってないんだ」

「あら?でもさっき」

「ああ、」

「…ふふ、らしくないこともするのね」

「いや、おれはただ…」




視線の先は




『ねえ、これって、どういう…?』

「なんだ、サンジの奴ストローしかくれなかったのか?」

『しかもハートの形してる、あ、そっか二人で飲めってことかあ、いっただきまーす』

「ああーっ!!(なんか、ち、ちけえ…!)」







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ぽんさま*

いつもありがとうございます。ヒロインのことが好きで好きでたまらない、甘くて切ないお話ということで。サンジ視点にしてみたのですが、ど、どうでしたでしょうか…、どこか穴の奥底に隠れたい気分です。なんだかもっと切なくさせたい気もしたのですが、大変お待たせしてしまって申し訳ないです…!
うちのルフィ小説がお好きと言って下さってほんとに嬉しいです!またいつでも遊びにいらして下さいね、お待ちしてます。
5万打企画に参加してくださり、ありがとうございました。

20110330





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