『世界にわたしとルフィだけだったらどんな世界かな』
「なんだそれ?」
わたしの髪の毛をくしゃり、としながらルフィはおかしそうに笑った。
『ずっとこうやって冒険してるのも楽しいけど、ルフィだけとの世界もいいなーって思ったの』
「ふーん、それって肉もあんのか?」
『ふふ、どうだろね』
「名前といれるのは嬉しいけど、やっぱ肉がねえとなー」
『わたしはルフィがいてくれればそれでいいよ』
そう言ったら、きょとんとした顔でわたしを見て「そっか」と笑った。
ルフィの体温が、わたしの体温が暖かくてそのままシーツに包まれたまま瞼を閉じる。ああ、幸せだななんて思いながら。
目が覚めたのは隣に温もりを感じなくなった頃。ルフィがいない。あのまま女子部屋で寝ちゃったんだっけ。窓の向こうから遠くに鳥の声が聞こえる。そろそろ朝食の時間かな。
『サンジくーん?』
キッチンへ行くと朝食の準備が済まされたテーブルが出迎えてくれた。けれどみんなの姿がない。
『あれ?どこにいるんだろ?』
朝食のいい香りがするのに、ルフィもどこに行ったんだろう。決して広い訳ではないこの船で見つからないなんて、そうあることでもないのに。
そして、甲板へ向かい前を見据えると、ああやっぱり居た。赤いベストが風にゆらゆら揺れている。
『ルフィ!』
「ああ、名前!」
『おはよう、朝食まだなの?』
「ああそんな時間か」
『ふふ、珍しいね。ご飯の時間を忘れるなんて』
近くまで行くと、手を差し伸べられ抱きしめられる。髪をくしゃりと撫でられる。いつもそうやって撫でられる瞬間が好き。やっぱり今日も幸せだな、と思いながら。
『それにしてもみんなは?姿が見当たらないんだけど』
「んー?」
ルフィを見上げれば海を真っ直ぐ見つめてる。軽く反応するけど、なにも答えない。わたしも特に不思議に思わず海を見つめた。その時やっと何かがおかしいのに気付いた。
『ねえ、あそこの海なんか赤くない?』
「…」
「なんか、浮いてる」
何度も目を凝らせた。何度こすっても、瞬きさせても、そこに見えるのは見覚えのあるピンクの帽子や茶色のバンダナ、ログポーズやタバコぽいものやら、他にも。
『ね、え、ルフィ…、あそこ』
「名前」
その瞬間抱きしめられる力が強くなって、ビックリする。心臓が高鳴る。わたしの体が震える。だって、だって。
『るふぃ、』
「名前とおれだけの世界に行ってみたい、って言ったろ?」
そう言って笑った。わたしの大好きな笑顔で、いつもの笑顔で、大きな手のひらでわたしの髪を撫でる。
「これでずっと二人っきりだな!」
ずっと一緒にいよう、なんて
それは容易いこと
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龍綺さま* とりあえず、ヤンデレの意味をヤンキーデレデレだと勘違いしていたわたしを許してくださいorz いつどうやってそう覚えてたのか、そんな自分を殴り飛ばしたい衝動です。 そして、これちゃんと書けているのだろうか…?もうどうなんでしょう、分かりません。ですが新しいジャンルに挑戦出来てよかったと思ってます!ありがとうございます* 大変、遅くなってしまいましたが五万打企画参加してくださり、本当にありがとうございました!
20110319
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