「なんだよ」


階段のところで黄昏れているマリモを発見したのでわたしはその隣に腰を降ろした。

そしたらそんなぶっきらぼうなセリフが降ってきたから、わたしは笑った。


『ほら、ゾロの』


笑うわたしが気に喰わなかったのか、不機嫌そうな顔でわたしの手の上にあるものを睨んだ。

ハンカチに包まれた数枚のクッキー。


『だってやっと来たと思ったらいつもより増した怖い顔で出てっちゃうんだもん』


サンジくんと一緒に作ったクッキー。ルフィもウソップもチョッパーも美味い美味い!って食べてくれたんだよ。ゾロのとこ行くって言ったら「マリモのとこなんて行かなくていい」とかなんとか散々言われて、ここ来るの一苦労だったんだから。


『ね?』

「おれはふて腐れた犬か」

『ふふ、犬っていうよりも狼って感じ』


ほら野獣っぽいし、ワン!ってよりもガルル!っていう方が似合ってるもん。

ケラケラ笑えば何も返答はない。顔をチラ見すれば前を見つめたまま、まだ不機嫌そうな顔をしている。

顎なんか付き出しちゃって。しゃくれるぞー。


『もう。せっかく持ってきたのに!わたし食べちゃうよ』


そんな顔面凶器みたいなツラしちゃってさ!もう。せっかくこーやって持ってきてあげたというのに。

素直じゃないねー、うちのゾロくんは。

だがしかし、全部口に押し込んでしまおうと思ったクッキーは一瞬にしてでかい拳にさらわれた。

まるで雑草をむしとるかのように、グイっと。

それを目の当たりにして犯人を見れば、ムシャムシャと。

これは、もうムシャムシャと喰っとる。


『ちょっと!もっと味わって食べてよっ』


ムシャムシャ、ムッシャムッシャムッシャ…ゴ、ックン。


「お前は分かってねぇな」

『はあ?』

「なんでおれが、イライラしてるのかお前は分かってない」

『…?』


まだ不機嫌な顔をしたままゾロは前を見据えた。


『…分かった!食べ足りないんでしょ?まったくー、多分まだ残ってると思うからいま持ってきてあげる』


食いしんぼだな、ゾロは!キッチンへ行ってもっと持ってきてあげようと思い、勢い立ち上がると、腕をぐいと引っ張られ一瞬にして床へと着地した。


『へ?』

「ここにいりゃいい」

『なんで?』

「そしたらイライラしなくなる」

『そう、』


それじゃあ、そうさせて頂きます。

でも、きっとゾロも分かってないよね。全部全部ゾロのためにやってたことなんて。まあ、なんでイライラしてたのかよく分かんないけど、こうやって一緒にいられるならいっか。


「それ、」

『え?』

「美味かった」

『…あ、うん』





逆にドキドキするけど


「クソマリモ野郎!名前ちゃんから離れやがれ!」

「こらゾロ!独り占めすんな!」

『い、今行く…!(だめだ、心臓苦しい!)』

「…!」








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アルさま*

遅くなってしまいごめんなさい!
初ゾロ夢ということで、書かせて頂きました…!な、なんだろこれ。ゾロなのかな…。しかもやっぱり落ちは可愛そうな感じに仕上がってしまいました。(←おーい)それに逆ハーな感じになっているのでしょうか…!ご希望通りに沿えたかどうか分かりませんが、受け取って下さると嬉しいです。
アルさんのご活躍の方もこれからも応援してます*五万打企画に参加して下さってありがとうございました!
20110108