ルフィとの冒険とやらは思っていたよりもハードだ。
「お!あっちに怪物でも出てきそうな森がある!よし行くぞ!む?あっちは巨人でもいそうだな!やっぱりあっちにしよう!」
わたしには普通の島にしか見えないんですけど…!ルフィフィルターからすると、冒険したくてしたくてたまらない島のようだ。
さっきから、手をぐいぐい引っ張られながらあちこちと連れ回されている。
あっちだ!こっちだ!と言う度に引っ張られて結構痛いんですけど!
するとルフィは突然止まり、わたしは思わずぶつかりそうになる。
「る、ルフィ?」
「いや、まずは腹ごしらえだよな!メシ!」
へ?
そう言葉を返そうとする余裕もなく、もう一度手をぐわんと引っ張られ、森とは逆の街の方へと突き進む。
「るるるルフィー!」
「なんだ?新しい歌かそれ?」
「ち、違う!痛い!さすがに痛い!」
「あ。悪ぃ悪ぃ」
ルフィはね、ゴムだから痛いとかいう感覚が薄いかもしれないけど、わたしは一応普通の人間だからね!
きゅきゅー、と止まりわたしを振り返ると、わたしの手を見てああと呟く。
「わりぃな」
そう言いながら、手の甲を優しく撫でてくれた。
「島全部がキラキラに見えて仕方ねえんだ!」
「気持ちは分からないでもないけどね…」
想像以上でしたけどね。
「しかも名前は初めて上陸で、名前と初めての冒険だろ?今日はいつもに増してわくわくすんだ!」
顔を上げれば、予想以上のキラキラな笑顔。そんなに、そんなに、嬉しいんだね。
そんな笑顔に勝てる訳もなくて、わたしは笑い返すしか出来ない。
「だから、また引っ張っちまうかもしれねえけど嫌か?」
「う、ううん!」
ぶんぶん、と首がもげるんじゃないかという程首を振った。
少し寂しそうにわたしを見つめていた。嫌なはずがない。
むしろ…。
「にしし!じゃあ行こう!」
連れていってほしいよ。
こぼれそうになった言葉を飲み込んで、ルフィを見たら嬉しそうに笑っていた。わたしの手をぎゅっと握り直して一緒に駆けて行く。
あんな風に言われて断れる訳ないじゃないの。でも多分、わたしにもキラキラして見えるのはきっとルフィがいるからだと思うんだ。
- - - - 20120110
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