陸へ付いたのか、ゴトンと船が一瞬大きく揺れて私たちは一斉に顔を上げた。 わたしは丁度サンジさんの手伝いでお弁当にレタスを詰めていたところ。
「お、着いたみたいだな」
「よし行こう!すぐ行こう!」
途端にルフィはわたしの腕を掴み、ぐいぐいと引っ張った。それはあっという間。もう片方に持っていたフルーツトマトが手からポロリと落ちる。
ちょっと待って、わたしまだエプロンも脱いでない、んですけども!
「こらクソゴム!まだナミさんの指示が…、ってもういやがらねえ…ったく。第一、まだ弁当が…」
テーブルを見下げるとナミさんたちに作ったスペシャル弁当が三つ、そして野郎共に作った弁当が、三つ。あいつ、ちゃっかり野郎分二つ持っていきやがった。
ああ、せっかく名前ちゃんのために作ったスペシャル弁当が台ナシだぜ。
「ちょっ、まっ、る、ねえ、ちょまじ、まだ、るふぃ、ルフィいいいいやああああああああああ!!!!!」
視界が途端に青空になってここが地上ではないのだと気付くのは早かった。
どんだけ真っ直ぐなのよこいつは!船から結構距離があるということをわたしは知らずに、いや分かってたけど。まさか、ジャンプ一蹴りで地上に降り立つとは思っていなくて。耳元でふふ〜っ!とご機嫌な声が聞こえる。ふふ〜っ!じゃないわまじで!
いつの間にか姫抱きで抱えられてたことにも気付かずに、ルフィはそっとわたしを降ろすとニカッと笑って
「よし、行こう!」
よしじゃないだろ、よしじゃ!
はあ…こいつに突っ込みするのも疲れてきた。青白くなっているわたしの顔にも気付かずにわたしの手を引っ張った。今度は腕じゃなくて、手のひらを握って。
手を握られた途端、顔が熱くなった。ああ、この島は暑いな。体中の熱が集まってくる。顔がなんだかすごく熱い。 船に帰るのはいつ頃になるんだろう。暑い理由を島のせいにして。
まあということでみんな、一足先に行ってきます。
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