浴場の扉から少し明かりが漏れていることに気づいて軽くノックをすると、返事は何もなく、変わりに楽しそうな声が聞こえてきた。
「わは!つめてえ!」
「お前毛皮脱いだ方がいいんじゃねえか?」
「あ、そーだったな!…って毛皮じゃあねえよ!」
「あっははは!」
どうやら中で誰かがはしゃいでる様子。
ここでじっとしてるのも何かと思い、もう一度聞こえるような声で呼びかけた。
『…誰かいるの?』
「ん?名前か!?」
どきんと心臓が跳ねた。
る、フィか。
「お、やっぱり名前だ」
扉からひょっこり顔を出してにっこり笑った。
視線を下げればチョッパーも嬉しそうにわたしを見上げている。よく見れば髪は濡れていてなんかいつもと違う感じ。
それに石鹸の良い香りがする。
「さっき遊んでたらおれとチョッパーで海に落ちてよー」
「ルフィが先に落ちたんだぞ」
『二人ともカナヅチなのに』
「名前も風呂か?」
「よし、一緒に入ろう!」
『え、あっ、ちょ、』
腕をぐいと引っ張られ、裸足の足が濡れた床へと落ちる。ちょっと待ってわたしまだ服着てるんですけど!しかも、一緒にって…。
『ま、待って待って、わたし服着てるから』
「おおそーか、じゃあ脱げ」
アホかこいつ!
チョッパーはさすがに理解してるようでわたしたちをポカンと見つめている。
『ばか!』
「うわっ」
「ギャー」
堂々としたままのルフィにタオルを投げつけて二人を追い出した。
あ。洗い途中とかだったのかもしれないけど…、しょうがない。ルフィが悪いんだもん。チョッパーごめん。
ルフィってああいうことナミさんやロビンさんにもさらりと言うのかな…、わたしも一応、女なんだけどな…。同類にでも見えるのかな。
お湯で口をぶくぶくさせる。
ああ、もう。あいつのせいで考え事できない。
- - - - 20110116
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