鮮やかブルー | ナノ






『も、もう無理…』


バタンと音がするようにへたれ込むと、冷たい視線を感じて慌ててゾロさんを見上げた。すると呆れたような顔をして大きな溜息をついた。


「お前ほんとにやれるのか」

『や、やる気はあるっ』


ゾロさんはさっきからずっと大っきなバーベルを上下に持ち上げたりしてる。うん、絶対におかしいと思う。

ぼうっと見つめていると、何だと言うようにじろりと睨まれ、我に戻る。


「腕立て三十でへばるなんてどうかしてる」

『も、もっかいやります!』


絶対ゾロさんの方がどうかしてると思う。だってナミさん曰くルフィやゾロさんやサンジさんは化け物だって言ってたし。
闘ってるときのゾロさんの顔とか顔とか顔とか、特にそうだと思う。

でも、筋トレに一緒に付き合ってくれることには感謝してるけど…やっぱり簡単じゃないよね…。


「名前ちゅわああーんっ?サンジによる三時の甘味なデザート持ってきたよー??…はっ!ここにおられましたかお姫様…………って何しとんじゃーー!!」


もう一度腕立て伏せを始めたときだ。サンジさんが可憐?にくるくる回ってきてやってきたかと思えば顎がはずれそうなくらい口を大きく開けてわたしたちを凝視していた。


「おめーは相変わらずうるせえな」

「おっ、おまおまっ…!名前ちゃんに何やらせてんだよ!麗しい肌に傷でもついたらどうしてくれんだ!」

『あ、いや、サンジさ』

「こいつから申し出てきたことだ、エロコックは黙ってろ」

「ああ!?てめえのクソマリモが移っちまったらどうすんだ!?」

「強くなりてーんだとよ、良いことだろうが」

「てめえが関わってる以上良いもクソもねえんだよ」


あああ、やばい。この二人の喧嘩が始まってしまうととても面倒だ。な、なんとかして止めねば。


『わ、わたしはマリモにならないから大丈夫!!』

「…!」

「…」

『あ、いや違う、そこじゃない間違えた、わたしは大丈夫だから!わたしからゾロさんにお願いしたことなの!』

「それならおれが愛のレッスンを…」

「てめーの方こそぐる眉が移っちまうぜ」

「なっ…!オロすぞてめええ!!」


だ、ダメだ。もうわたしの手に負えなくなってきた…。よし、こういう時は。


「第一なんでクソマリモなんかが名前ちゃんに頼られてんだよ」

「お前は役立たずだと判断したんだろ、妥当じゃねえか」

「なんだとう……!」

「お前らなんで喧嘩してんだ?」


その時、船長の言葉に二人は一瞬我に戻る。


「ああ…名前が強くなりたいっつっておれに」

「自惚れんなよクソマリーモ」

「名前が?」

「そう…名前ちゃんが、ってあれ」

「いないぞ」


あれ、さっきまでそこに。同時に言葉が浮かんだが、本人がそこにいなければ、放置されたということである。


「名前の野郎…」

「名前ちゅわん…」

「なあなあ、ほんとに名前がそう言ったのか?」


二人を放置した名前はある場所へ向かったのだった。





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20101022