「まだ痛む?」
そうナミさんに心配そうに言われ、背中を摩っていた手をそっと離した。
『ううん!全然大丈夫!』
「わたしたちも迂闊だったわ…」
『いいの、わたしの不注意だから!』
日常生活を過ごすには十分だったけど、やっぱり少し体にじいん、と痛みが残っていた。
『あの、ナミさん』
やっと皆のこと名前で呼べるようにもなった。この世界にも段々慣れてきた。身の回りが全く変わって、それが当たり前のように感じてきた。
だけどまだどこか変わってない、って分かってる。
「なあに?」
ナミさんはからだの向きを直して頬杖を付きながらわたしを見た。 ちゃんとわたしの話、聞こうとしてくれてるんだ。
ロビンさんは部屋の隅で静かに本を読んでいる。でもきっと知らん顔なんてしていない。
『わたし、強くなりたい』
ナミさんはとても優しく笑った。だから自然とわたしの気持ちも暖かくなったような気がして安心したの。
「そう」
『ルフィやゾロさんとかサンジさんくらいに強くなりたい訳じゃなくて、自分を守れるくらいに。』
「わたしもそう考えたときあったわ」
『…そうなの?』
「あいつらと一緒にいたら不安になるのも当然よ」
『ふふ、そうだね』
ロビンさんも本のページをめくりながら、綺麗に微笑んでいた。きっと二人とも応援してくれている。
助けられてばかりいるのは嫌。それに皆が心配してくれたとき、「あ、わたし仲間なんだ」って思ったの。すごく嬉しかった。
安易なことではないけれど、今そう決めなくちゃ何も始まらない。
『よし!じゃあ早速!』
「早速どうするの?」
『ゾロさんと一緒に筋トレしてくる!』
「…は?」
『行ってくるーっ!』
「ちょ、名前っ」
バタンと扉が閉まり、顔を見合わせる二人。
「大丈夫かしら」
「ふふ、前向きでいいんじゃない?」
「無茶しないといいけど…」
キッチンを出てゾロさんを探しに向かうことに。
大丈夫!だって、わたし海賊なんだもん!願ってもなかったことだけど、自分のために、みんなのために
わたし変わりたいよ。
- - - - 20101019
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