鮮やかブルー | ナノ






キッチンへ着くともう全員が集合していて、ナミさんがわたしを見てご苦労様と笑った。


「おい名前遅えぞ!みんな腹が減って死にそうなんだ!」

「おでも腹減ったぞー…」

「それはお前らだけだろ」

「食事のときくらい静かにしなさいよあんたら」


なんだか、いいな。わたし普通に暮らしてたときって、親も働いてたしきょうだいもなかなか揃うときとかなくて一緒に食事する時間とかも成長するにつれて減っていた気がする。

でもこの船のみんなにはそんなのありえなくて、なんだか家族以上のものを感じる。きっと誰かがつまずいて転んだときは、振り返って問いかけるだけじゃなくて手を差し伸べて一緒に立ち上がってくれるような、そんな感じがする。

そんなことを瞬間的に考えてぼおっとした。


「名前ちゃん?さあ座って」

『ん、あ、はい』

「今日は野菜のポトフをメインに作ってみました」

『あ、わたしなにか手伝った方が…』

「あーっいいんだよ!座って待っててね」


サンジさんはいつも料理作ってて大変だなあと思いながら席に着くと、正面にルフィが座っていて両手をテーブルに乗せとても嬉しそうな顔をしている。


『嬉しそうだね?』

「ああ!メシの時間だからなー」


ニカッと笑う彼を見て、さっきまで考え込んでいたわたしがアホらしいと思い心の中で溜め息をついた。
そ、そうなのよ。さっきのはほんとに何かの間違いだったのだぜ!

そして、サンジさんの支度が終わってみんなが手を合わせて「いただきます」と言おうとしたそのときだった。



どごおおおんっ!!



「…っ!?」

「きゃあっっ!!!」

「な、なんだ!?」


突然、ぐらりと船が揺れテーブルの食器やらが落ちていく。


「クソ野郎が…敵船だ!」

『…敵船?』


海賊に敵が襲撃してくることは日常茶飯事。この間そんなことを聞いたけれど、わたしには初めてのことで心臓がどくどくと高鳴った。ど、どうしよ。隣でウソップとチョッパーが体をくっつけて震えているけど、わたしの体も自然と震えてきた。

怖い。でも、足手まといにはなりたくないから、わたしも頑張らなくちゃ。

拳をぎゅっと握って唾を思い切り飲み込んだ。

ほら、わたしに出来ること見つけるんでしょ。




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100929