ばしゃばしゃ。
さっきのシーツを再び桶に入れてごしごしと洗う。あー、びっくりした。なんか顔近かったんだもん!いや、普通だったか?でもなんか急に真面目な顔するから!普段あんな暢気な表情してるからびっくりしたんだってば! ま、まったく。調子が狂うなぁ。
ごしごしごしごし…。
「もうよごれは取れたんじゃないかしら?」
『へ?』
声をかけられ振りむくと、ロビンさんが微笑みながらわたしを見ていた。…綺麗だな。言われたセリフに気付きシーツを見ると確かにかなり泡が立っていた。気付かないうちにこんなに洗ってたなんて。
『ほ、ほんとだ…』
「何か考え事でも?」
『いや、別に…!』
「フフッ」
顔に「図星です」って出ちゃったかも。でもなんだかロビンさんには何でも見抜かれてしまいそうな気がする。
「食事の時間になるわ、終わったらキッチンへいらっしゃい」
『あっ…はい!』
わざわざ知らせに来てくれたんだ、優しい人だな。独特な雰囲気がある人だけどこの船じゃ一番落ち着いてる人かも。嬉しくてロビンさんの背中を見つめていると振り返ってわたしを見つめ返した。同性だというのにドキッとしてしまう。
「船長さん、悪気はないのよ」
やっぱり、見抜かれていた…!てか、見られてた?そしてロビンさんはそれだけ言うと、わたしの反応を見て嬉しそうに浴場を出て行った。 一人になると、恥ずかしい気持ちが込み上げて頬っぺを両手で挟んだ。はぁ。
「名前ーーーーーっ!メシだぞぉおーーっ!!」
綺麗になったシーツをきゅっと握りもう一度小さく溜め息をついた。 うるさいなぁ、もう。
- - - - 100918
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