鮮やかブルー | ナノ





今日はとても天気がいい。
涼しい風が気持ちいいから甲板でぼーっとしているとナミさんに洗濯を頼まれてしまった。暇そうに見えたんだろうか。まあ、実際に暇だったんだけど。


「浴場にあるからよろしくね」


特に仕事もないし、いっかと思いながら浴場にいくとそれは山のような洗濯の数。
…ま、じ、かよ!
この船、どういう頻度で洗濯やってるんだろ…。溜め息をつこうとした口をぐっと閉じて腕まくりをした。

よーし。洗剤洗剤…。ないなあ、あれ?もしかして洗濯機、ない…?
足元には木製の桶と洗濯板が転がっている。

ああ、それはもしかして…。





「このやろーっ!待てー!」

「うおおお!ウソップの鼻が長いぞおぉーっ!」

「うおいっ!それはいつもだ!」

「だははは!逃げろー!」


はあ、疲れた。甲板で遊んでいる声がここまで響いている。

あれから2時間。洗濯物を洗い終えて船尾でタンクトップやら腹巻やらを干してゆく。それにしても同じ服ばっかだなあ、みんな服買ってもらえないのかな。

「わたしにできること」こうやって少しずつ協力していければいいよね。そんなことを考えて鼻歌を歌いながら最後に白いシーツを広げてぱんと叩く。
が、その時。






「うぎゃあああっっ!名前…!?そこどけぇえぇーっ!!」

『…へ?』




どこおおぉぉんっ!!どこどどこ、がらがら、…がっしゃん!!




「あっひゃっひゃひゃひゃ!わりぃわりぃ!」

『わ、笑い事じゃないっての…!』

「ウソップたちと鬼ごっこしてたらよ、いきなり海王類が出てきてさ!メリーんとこからぶっ飛ばされちまったんだ」

『わ、分かったから下りて…!』


嬉しそうに話してくれたのはいいものの、わたしの上に覆いかぶさるように倒れてしまったため、思わず恥ずかしくなったからルフィの胸を押す。


「わりーな、お前何してたんだ?」

『…洗濯だよ』


押し返すのに、なかなか降りてくれない。先程干そうとしていたシーツに包まれてしまってやたら近いというのに。


「名前…、」

『…。』


なんか、見つめられてる、気がする。あれ、なんで?まっすぐな瞳がわたしをじっと見つめて離さない。まるで何か不思議なものをみるかのような顔で。
決して二人の距離が近づいたわけではなかったが名前の鼓動は早くなった。


「名前、」


もう一度名前を呼ばれた瞬間、何かがはじけたように名前はもう一度ルフィの胸を思いっきり押し返した。


「うぎゃ!」

『…はぁ、はぁ』

「な、なにすんだよっ」

『せ…洗濯の邪魔なの!』


くしゃり、となってしまったシーツを慌てて拾い上げて名前はもう一度浴場に駆けて行った。「な、なにすんだよっ」って、わたしのセリフだっつーの!

なんか、なんか時々ルフィって、いつもの少年みたいなルフィじゃなくなる気がする。
ドキドキしてしまったわたしはきっとバカだ。





- - - -
100909