仲間にしてもらったのはいいものの。疑問が生まれた。
わたしには何が出来るんだろうか?だってだって海賊でしょ?海賊って言ったら、まず闘えなくてはいけないじゃない。
「どわっ」
外の景色を眺めながらそんなことを考えていたら、足になにかがぶつかった。振り返ると…チョッパーだっけ?チョッパーがわたしの足に顔をぶつけた。どうやら、鬼ごっこをしていたらしく、ぶつかってしまったようだ。 いたた、とおでこをおさえる彼の姿はなんとも可愛い。
『ごめんね、大丈夫?』
「お、おう!大丈夫だ!何してたんだ?ここで」
『ん、ちょっと考えごと』
「なんか悩んでるのか!?」
『…うーん』
あまりにもチョッパーが徐に心配そうな顔をするもんだから、あのねと話すとわたしを見上げて話を聞く体勢になってくれた。
『わたし、仲間になれて嬉しいの。でも、武器を持っているわけじゃないし、強いわけでもない。わたしに何が出来るんだろう、って思ったの』
甲板の方を向いて、体育座りをしてチョッパーをチラリと見ると眉間にしわを寄せて考え込んでるもんだから聞かなきゃよかったかもと思った。
「おれも、」
『ん?』
「おれも、そうだったんだ。おれは怖がりだし、みんなみたいに強くねぇし、…化け物だし。どうすればいいか分かんなかった」
『うん、』
「でもな、言ってくれたんだ!”お前に出来ることをすればいい”って」
嬉しそうに笑って言うチョッパーはとても輝いていた。
「だから名前も名前に出来ることをすればいいんだと思うぞ!」
『…ありがとう』
「べ、別に感謝されても嬉しくないんだからなっ!」
『ありがとう』
「う、嬉しくねーんだからな!バカヤロッ!」
もう一度お礼を言うと目尻をふにゃふにゃにして、再び鬼ごっこをにしにいってしまった。
「む、無理はすんなよっ!」
言葉とは裏腹にチョッパーはくるっと振り返ってそう言ってくれた。チョッパーって優しいんだなぁ。
あんな風に可愛い彼も、立派な一人の男でこの船のクルーなんだなぁと思った。 わたしに出来ること、か。ゆっくり考えていいんだよね。
おやつの号令が船に鳴り響いてキッチンへ向かった。
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