山賊だなんて聞いてない。海賊も嫌だけど、とにかくこいつら全員悪い奴だ!バカヤロー!
「あら、仲間割れかしら」
『あんた、裏切ったわね!』
「おれは海賊じゃねぇと言っただけさ」
『不潔!変態!バカ!アホ!離してよ!』
「ばか騒ぐな!それに鼻っからこうするつもりだったさ」
ほんとに自分を恨んだ。あの時間帯に帰らなければ。バイトを入れていなかったら。何もかもあのルフィって奴のせいだけどね!!
「それに麦わら!お前には恨みがあると言ったな!」
「おいルフィお前なんかしたのか」
「いーや、何も覚えてねぇ」
「でもこいつの可能性は大アリね」
「そうは言っても賞金首だからな」
「それにしてもあの子苦しそうよ」
ダメだ…。こいつ以外に力強すぎて、力出ない。突きつけられたナイフは目の前にあってヘタに動けないし。こんなとこでわたしの人生終わりだなんて…。
「とにかく、おれの仲間から、離れろおぉぉぉぉぉ!!!」
この瞬間は忘れられないと思う。目の前から手が伸びてきたのだ。自分にぶつかるかと思いきや、その拳は隣の男の顔面に直撃した。普通だったら即死だと思う。いや、死んだかな?
幸いにわたしは男の腕から解放され、ヘタリと地面に座り込んだ。空を見上げれば、男が空を飛んで行って見えなくなったとこだった。
手が伸びた…。
「大丈夫か」
『あんた…何者なの?』
「おれか?おれはゴムゴムの実を喰ったゴム人間だ!」
『ゴム人間…!?』
わたしはやっぱりとんでもない所に来てしまったらしい。
「とにかく、おれの船に来いよ」
けれど、震えた足はどうも隠せなくて。差し伸べられたその手を払うことも出来なくて。悔しさだけ隠してその手をぎゅっと握った。
- - - - 100804
|