海賊 | ナノ






『エースのそばかす、いいな』


最後のベーコンをフォークで刺して口に含んだ後だ。
目の前に座っていた船員、名前は突然そんなことを言った。ひじを付いた手に顎を乗っけて、ごく当たり前かのようにそう言った。


「そうか?」


おかしな顔をしていたのか、名前はおれの顔を見て少し笑った。嬉しそうに。そんなこと言われたことねぇけどな。相変わらずおかしなこと言う奴だと思いながら、今度は目玉焼きをロックオンする。


『ねえ、触ってもいい?』


え?声が漏れて、顔を上げたときには温もりが片頬に触れていた。思わずびっくりして持っていたフォークが落ちてカチャンと鳴る。

さっきから心臓がやけにうるさい。そばかすなんて、触ってどうこうなるもんじゃねぇだろ。もしかしておれのこと、おちょくってんのか?

その時、触れていた親指がおれの目元あたりをゆっくりとなぞる。鼓動が速くなった気がした。


『きれい』


まるで美しいものを見るかのような目でおれ(のそばかす)を見つめる。いい加減にしろっつの。

白くて細い手を払って名前の顔を両手で挟む。比べたらおれの手ってごついな、しかも少し力を入れたら壊れちまいそうだ。


「人のこと言えんのかよ」


頬をぷに、と掴むと恥ずかしそうにやめてよと言った。やめれる訳がないのに。顔を近づけたら意外にも赤い顔でおれを見つめるもんだから、その赤くてきれいな頬に音を立てるようにしてキスをした。




密かな仕返し


その魅力的な唇が悪いんだ。




----------
アルさま*
随分とお待たせしましたっ!初のエース夢でした!
とても緊張しました。これエースなのか?しかも、そばかすネタって……。と、とにかくリクエストありがとうございましたー!また訪問しに行きますっ。

20100725