『ルフィって可愛いね!』
「は?」
あれ、なんだろ。わたし褒めたはずなのに目の前にいる船長は何やらとても怖い顔をしている。さっきまであんな笑顔で楽しそうにしていたのに。
「おれが可愛い?」
『うん!だってウソつけないんだもん』
「おれは男だ!そんなこと言われても全く嬉しくねぇぞ!」
『だって今朝も、朝ごはんをつまみ食いしたことがバレてサンジくんに怒られてたじゃない』
「それがどうした」
『ウソ付けなくて素直な性格が可愛いってこと!それで』
「おれは可愛くなんかねぇーっ!!」
あれあれ、やっぱり褒めたはずなのに怖い顔で叫ばれてしまった。男にとって「可愛い」って言葉は嬉しくないのかな。
「それにウソだってつけるぞ」
『ルフィが?』
「ウソップに時々教わってるんだ」
『それ、効果ないかと思うけど…』
オイ、と遠くから突っ込まれたツッコミは無視させて頂きまして。すると目の前にいた彼は突然、勢いよく立ち上がった。
「名前なんか大っ嫌いだーー!!!!」
『…!』
「この海で、いっちばんいちばん大嫌いだーー!!!」
『る、ルフィ!?』
ひ、ひどい。そんな大声で叫ばなくっても…。パリンとハートが割れるかと思いきや、名前を呼ぶと、満足したような顔でわたしを見下げてふんと鼻息を荒くした。ああ、これはまさかの、どや顔だ。
「どうだ」
彼のうしろに「どーん」という効果音が見えたような気がした。
『ルフィ、それって』
ルフィをぽーっと見つめていると、キッチンやら各部屋から出てきたクルーが野次を飛ばす。うるさいだとか、名前ちゃんになんてこと言ってんだとか。
「おれの最大級のウソだ」
ねえ、それって告白として受け取っても、いいのかな?しかもそれ、ウソって言うの?だけど、やっぱり嬉しくて笑った。
軽快なうそ
やっぱりあなたは素直で、可愛くて、そこが好き。
- - - - 20100720
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