どうにかしてルフィに近づきたい。いかにして自然にルフィに近づけるか。捕まえられるか。チャンスこそ自分で作るもんなのよ!一日中走り回って、遊んで闘って、はしゃいでる彼と二人っきりになれるチャンスなどないのだ。そこで発案したわたしの作戦。
『サンジくーん!格別美味しいもの作ってっ』
「ああっ名前ちゃんのためなら…!」
その名も食べ物でルフィを吊るぞ大作戦!!うん、我ながらナイスな作戦だ…。それをサンジくんに言ったら困ったように笑って「あんな奴のためによく頑張るなぁ」と言った。鈍感船長なんだもの。そのくらいしなくっちゃ。
そしてサンジくんが作ってくれた鶏肉のなんとかかんとかっていうソテー。キラキラしていて美味しそうな香りが溢れている。さっすがサンジくん!すっごく美味しそう!フフフ…これでルフィが放っておく訳がない!よし!ルフィがどこにいるか探してこなくちゃ!
『ウソップ!チョッパー!ルフィ知らない?』
「知らないぞ?」
「それより何でそんな美味そうなもん持ってんだよ?」
『これはルフィのエサ!え〜…三人で遊んでると思ったのに。ありがとね!』
「エサ…?」
「あいつ何する気だ?」
なんだ!てっきり外で鬼ごっことかしてると思ったのに。
『ナミーロビン!ルフィ知らない?』
「船長さんならさっきまでここにいたけど」
二人はキッチンで優雅にティータイムを送っている。独特なコーヒーの香りがわたしを少しだけ落ち着かせた。
『ここにもいないんだ…』
「どうかしたの?」
『おびき寄せ大作戦なの』
「は?」
『…ありがとう!じゃっ!』
「名前もよく頑張るわね」
「お互いそういう所に惹かれたんじゃないかしらね」
全く!ルフィが見つからないと意味がないっていうのに!同じ船にいるというのに、ルフィを見つけられないことが少し悲しかった。船内を走り回っても見つからず今度はゾロに聞いてみることに。
『ゾロ、ルフィ知らない?』
「あぁ、あいつも探してたぞ」
『え?』
「名前ーーー!!」
声にビックリして振り向くと見事におでことおでこがゴッツン。それはそれはもう鈍い音。ゴムではないわたしは一瞬頭の上にお花畑が見えたのは何かの間違いだろうか。ううん、でもルフィが飛んできたことは間違いない。作戦成功だ…。
「おい名前!名前起きろ!」
『…うぅ』
「なーに寝てんだよ!」
『アホ!あんたのせいじゃ!』
グーで顔面パンチを食らわすと、ぐえと声を漏らしてルフィの顔がぐにゃりとなった。そしてわたしの上にルフィが覆いかぶさっていることに気付き、我に返った。
『わっ!ちょ、どいてよっ』
「あ、悪い悪い」
『って、あーー!料理がっ!!』
「お!美味そうな料理が!何で海に落ちてんだ?」
『ルフィが飛んできたからでしょ!?って、料理に吊られて飛んできたんじゃないの?』
「いや知らねえ。名前がいたから飛んできたんだ」
『え?』
「どっこ探してもいねーんだもん、やっと見つけた!」
『探して、くれてたの?』
「ああ!名前にな、早く言おうと思ったんだ」
何かと思い首を傾げるとふわっと抱きしめられて好きだと言われた。さっきな、気付いたんだ、と嬉しそうに話すものだからわたしも思わず笑ってしまった。海にお皿がぷかぷか浮かんでる。ああ、後でサンジくんに謝らなくちゃ。
「わたしも、ずっとずっと前から好きだったよ」
作戦失敗
作戦なんて必要なかったみたい
- - - - 20100707
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