お前が悲しいと俺も悲しい。どうにかしてやりたいって思った。目の前で名前が泣いていた。理由は知らないし、分からない。聞くつもりもなかった。けど、なんでそんなボタボタ涙をこぼすんだ。名前を泣かせる奴はおれがぶっ飛ばしてやるのに。
悲しんでる奴は嫌いだ。悲しんでる名前は嫌いだ。
悲しい気持ちを半分にしてやりたい。半分にして少しだけでも減らしてやりたい。名前のために泣くことも、怒ることも、笑うことだって出来る。座り込んで名前の背中をさすってやると、おれを見上げて笑った。そしたら心臓をわしづかみされたような気分になったんだ。名前は嬉しそうに笑っておれを見たんだ。さっきまで泣いてたのに、もう笑ってる。
名前を見てるとなんか違う。いつものおれじゃない気がする。目をハートにしてくるくる回ってるサンジなんか見てアホだなーって思ってた。
だけど、
『ルフィ、ありがとう』
「ああ」
『ルフィ』
「なんだ?」
今、分かる気がする。名前が笑うと心臓がバクバクすし、目が逸らせなくなる。なんか、こう吸い込まれそうになって、くっつきたくなるんだ。なんなんだよ、おれらしくない。
『ありがとう、大好き』
「…」
『…』
「もっかい言ってくれ」
『えっ!?や、やだよ、もう言わない』
「なんでだ、言ってくれよ!」
『やだっ恥ずかしいもん…!』
あわてて顔を隠すから無理矢理手を払ったんだ。そんでやっと顔が見えたと思ったら真っ赤な顔しておれを見たんだ。なんなんださっきから。なんか、すんげぇ苦しい。やけに顔も熱い気がする。名前を見たまま黙っていると名前も黙ってうつむいてしまった。
なあ、名前は知ってんのかこの感じ。
「名前」
『…なに』
「おれも、」
触りたくなった。おれのものにしたくなった。どこにもいかないように、離したくなくなった。
そろそろ歯切れが効かなくなって名前の頭をおれん中に押さえつけて、捕まえた。そしたら名前のからだが震えておれの心臓も跳ねたんだ。なんだか嬉しくなってもう一度ぎゅっと捕まえた。
落ちるとこまで落ちようか
どうやら、お前に恋してるらしい
- - - - 20100531
|