ジョジョ | ナノ

名前とジョニィの間で、服の裾を引くときは相手を誘う合図だと決まっていた。
めんどくさがりで、人と付き合うことや会話を投げかけることすら煩わしいことだと思っている名前から誘うことはまず無い。
しかし、名前のことを異常なほど溺愛していたジョニィは頻繁にそれをやる。

今日も、まだ陽が高いにもかかわらずジョニィは名前のシャツの裾を引いた。
名前は読んでいた本から目を離さず、「気分じゃない」と誘いを断る。
それでもジョニィは諦めずにシャツのを引く。
本の隙間から視線をそちらに移せば、普通ではない顔をしていたので、名前は「どうしたの」と声をかける。
話を聞いてやるからといって、こちらが妥協してベッドに移動はしない。

「名前、その…君の首筋が」

「首筋?」

「虫刺されみたいに腫れていて」

「興奮したんだ」

そう言えば、ジョニィは顔を赤く染めて口ごもる。
どうしてなのかはわからないが、ジョニィは虫刺されフェチという不思議な性癖持ちだ。
厳密に言えば、赤くぷっくり腫れていれば虫刺されではなくても、ニキビや傷だっていいみたいなのだが。
ジョニィの視線を追って、名前は自分の左の首筋に虫刺されがあることを知る。
熱っぽい視線に興奮しないこともないが、それより今は本の内容が気になる。
ただこのままにしておくのは可哀想だな、と名前は「好きにしていいよ」とジョニィに言った。

「私は本を読むから」

「触っても、…舐めてもいいのか?」

「うん」

許可を出してすぐに、ジョニィは名前の背後に回り込み、熱を持った指先で名前の白い肌にぷっくりと浮き出た赤い痕を撫でる。
名前は擽ったいなと思いつつも、ページを巡る。
撫で回したり、膨らみを押してみたり、爪を立ててみたり、ジョニィの息は荒くなる。
虫刺されの痕をよく見るために顔も近づけていて、その生暖かい吐息が名前の耳にもかかってきた。

「すごくいいよ…名前、綺麗」

「…ありがと」

「舐めてもいいか?」

「いいよ」

いちいち許可をとろうとするジョニィを可愛いと思ってしまう。
べろりと舌を這わせてみたり、ちゅうっと吸い上げたりを繰り返しているジョニィがだんだん愛しくなってきた名前は、目では文字を追いながらも片手でジョニィの頭を撫でた。
自分とは色も質も違う髪を指で梳く。
ジョニィもその撫でられる感覚にうっとりと目を閉じ、音をたてながら首筋に何度もキスをした。
お互いに、この関係がどこかおかしいのはわかっている。
けれども愛し合っているということに間違いがなければ、それでいいと思った。

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