ジョジョ | ナノ

ディエゴ・ブランドーは下流階級出身の英国人。
天才ジョッキーと誰もが認める実力とその甘いルックス、しかし黒い噂も多数ある光と影を同時に自ら浴びているような人間。
このレースで彼が何を手にしたいのか、名前はそれが知りたい。

身体を男にした名前は早速ディエゴに話しかける。

「ディエゴ・ブランドーだね?私は名前・名字、同じレース参加者として宜しく頼む」

名前はそう言って握手を求める。
ディエゴは名前を一瞥し、そして名前の馬を見た。

「フリージアンか。体力も速さもあるいい馬選びだが、肝心のジョッキーがそんな細身で可哀想だな」

「可哀想?私の愛馬だ。幼い頃から調教してる、私の事もちゃんと理解してくれている自慢の子なんだ。お互いに足りないものは補ってるんだ、そんな言い方酷いじゃあないか」

「随分と達者な口だ」

名前は笑顔を絶やさない。
嫌味や強い反論に聞こえてしまわないように声色にも気を付ける。
そんな名前をディエゴは頭の天辺からつま先まで、皮膚の荒れから身につけている小物まで全てを観察した後、「オレと一緒に来るか」と驚くような提案をした。

「お前のような写り映えのする騎手を連れれば注目を集められるしな。そーいう趣味はなかったが、お前が求めるなら抱いてやらないこともない」

まさかの反応に表情は崩れなくとも名前は驚いた。
一瞬、名前は「ディエゴ・ブランドーは同性愛者だった」と書けるなと思ってしまったがそんな呑気にしている場合ではないだろう。
有名騎手と共にレースを進んでいけるのは作品の質も良くなるだろうしこれ以上ないチャンスとも取れるのだが、この男について行ってはいけないと第六感で分かった。
名前はとても残念そうな顔を出して「ありがとう、でも私のペースに合わせたら君の優勝はなくなるだろうな」と大袈裟に遠慮する素振りをみせた。
ディエゴなら、意味は分かるだろう。

「そうか、…それならそれでいい」

「宿で出会ったらまた話してくれるかい?」

「誘ってるのか?」

「まさか!抱く趣味はあっても、抱かれる趣味はないんだ。君が下になってくれるなら、そうだな、考えないでもない」





セカンドステージが始まってすぐ、名前は上位グループの後列に回り込む。
無理に先頭列に入り込んでしまうと他の上位陣から敵だと認識されてしまうし、引き離されても彼らの活躍を目にすることが出来なくなる。
その辺りの匙加減は、長年訓練してきた愛馬が分かってくれる。

「よろしく頼むよ、君のことは信頼しているんだから」

そう伝わるように汗をかいた首を撫でれば、耳をピクリと動かして少し速度を上げた。
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