ジョジョ | ナノ
レースも中盤。
少し大きな街まで来たところで今宵の宿を決めた私は、借りた小屋で愛馬を休ませてから久々の暖かい食事を楽しみにホテルへ入る。そこには談話スペースでくつろぐジョニィとジャイロが居た。
上位組もここで休憩をとるなら自分のペースは間違っていないだろうと安心しつつ、同じレースの参加者として会釈をする。
向こうも私に気付き、私が受付を済ませたところでジャイロが私に手招きをしていた。
呼ばれて行かない理由もないので「こんばんは」と彼らに近付けば、二人は「お疲れ」と労いの言葉をくれた。
ジョニィの隣に腰掛け、ジャイロからコーヒーを受け取る。

「今回は調子いいんだな」

「うん、最初のステージは色々失敗したけど、二人のアドバイスのおかげかな」

「ぼくらはただ教えただけだ。頑張ったのは名前だろう?」

ジョニィとジャイロとはファーストステージが終わった後に偶然知り合った。
馬に乗ることには自信があったものの、長距離のレースでのペース配分が上手くいかずに色々な知恵をいただいたのだ。
なかなか上位争いに食い込んではいけないが、リタイアせずに残っていられるのはこの二人のおかげでもある。

「それにしても、二人ともすごいキズね。茨道でも通ったの…?」

「キズ…?」

ジョニィの腕やジャイロの首筋にキズが目立つ。
過酷な道程のなか怪我をしない方が珍しいくらいだが、それでもおかしいと思う位だ。

「名前は優しいな、心配かけてすまない」

「ううん、ジョニィたちが大丈夫なら…そうだ、ディエゴもおかしな傷があったの」

「Dioに会ったのか?!」

それまで穏やかな表情だったジョニィが急に声を荒げるから驚いて固まってしまう。
ジョニィが身を乗り出して私の腕や顔を触り心配そうに、どこも怪我をしていないか、何もされていないか、などと聞く。

「すごく肌の乾燥に悩んでたみたいだから、ボディクリームを塗ってあげただけ…かな?」

私がそう言うとジョニィもジャイロも苦虫を噛み潰したような顔をした。

「ああ、…成る程ね」

「名前、もうDioに構わなくていい。名前の優しさに漬け込むようなヤツだ。Dioに何もしなくていいし、ヤツから何も貰ったらダメだ」

「そこまで言わなくても…」

なんとか2人を宥めようとしていたところ、ホット・パンツがカウンターで宿を借りている姿が見えた。
ホット・パンツも私たちに気付いたらしいが、少しめんどくさそうな表情だ。
それでも助けての意を込めて視線を送り続けたところ、一度咳払いをして「名前を離してやれ」と声をかけてくれた。

「うおっ、お前さんまで名前を…そうか、意外ではあるが…」

「…ジャイロ?」

「盛大な勘違いをしていそうだな。…まあいいか」

「ホット・パンツ、ありがとう!お礼にディナーはおごらせて!」

「いい、一緒に食事をとるのは構わないがレース中なんだから金は大切にとっておけ」

「荷物を置いてくる」とホット・パンツは宿の階段をあがっていく。
私も準備しなきゃ、と立ち上がる。

「あっ、二人とも、よかったら一緒に行こう?」

そして四人でディナーにしようと宿を出て、ディエゴに出くわすことになったのは別の話。


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