ジョジョ | ナノ

最近めっきり着なくなった冬のセーラー服をしまおうとハンガーにかけているときに、スカートの裾がほつれていることに気がついた。
着る直前に直しにいくのもいいが、この前露伴先生からアルバイト代を受け取ったばかりなので、せっかくなら今直してしまいたい。
スカートはクローゼットではなく大きな袋に居れて、明日服を直してくれる靴屋さんに持っていくことにした。
あそこの店主のおじさんはあんまり好きになれないけど、他に直してくれる場所を知らないから仕方がない。
明日はちょうど露伴先生と商店街で待ち合わせをしているし、その時に寄らせてもらおう。



六時間目に嫌いな体育の授業を終えて、クタクタになりながら帰りのホームルームで先生の話を聞き流しバスに飛び乗る。
待ち合わせ場所にしている「ドゥ・マゴ」までは学校歩いていける距離でもあるが、長距離走の疲れには勝てない。
それに、商店街までなら通学用の定期券が使えるので気軽にバスにも乗れる。
これで露伴先生の家も近くにあれば通いやすいのに、と思ったが露伴先生がご近所さんなんて、それはそれで嫌だ。
露伴先生がご近所さんだったら言われそうなあんな悪口やこんな悪口を想像していたら、バスに乗っている五分なんてあっという間に過ぎて行った。
駅前の「ドゥ・マゴ」のテラスにはもう露伴先生がいる。
柵越しから「お待たせしました!」と声をかければ、「三分の遅刻だ」と怒られた。

「まあいい、そこで待ってろ。今会計してくる」

「私も何か飲みたかった…」

そんな希望虚しく、露伴先生はとっとと店の中に引っ込んでしまい、行くぞと私の腕を引っ張っていく。
私のことなんかお構いなしにぐんぐんと進んでいくが、「ムカデ屋」の前でスカートのことを思い出して寄ってもらった。
修繕費はお財布に大きなダメージだが、仕方が無い。
直す部分も小さいとのことで明後日には渡せるとおじいさんから引き渡しのメモ紙を受け取り、露伴先生とデパートへ向かった。



女子高生と成人男性という組み合わせは割と目立つようで、露伴先生は一度警備員に声をかけられていた。
露伴先生も露伴先生で突っかかっていくものだから、私が「親戚のお兄さんです」と嘘をつかなければ今頃警察まで来ていたかもしれない。
「あの警備員の態度はなんなんだ」と今も画材を選びながらボヤいている。

「へえー…ペンの種類もこんなに…」

「今日はそれを買いにきたんじゃあないからな。スケッチブックとカラーインクだ」

「はぁーい」

私の役目は荷物持ちなので、露伴先生の後ろを黙ってついていくことにした。
画材屋さんの隣にあったアクセサリー屋さんのネックレスに途中心を奪われもしたが、会計の時にまた呼び戻された。

「ウロウロするなよ」

「出番までヒマなんですもん」

「迷子になったらどうするんだ。館内放送かける側も恥ずかしいんだぞ」

「ひどい…!」

「ほら持て」と渡されたのは画材屋さんのビニール袋ではなく、先ほどのアクセサリー屋さんの紙袋だ。
「資料ですか?」と聞けば「そんなわけ無いだろう」と一蹴される。
「じゃあ彼女に?」と聞いても、「それとも家族に?」など思い当たる答えを挙げてみても、露伴先生は首を縦にふらず、それどころかイライラしてきている。

「もしかして…私に?」

「ああ」

「なんちゃっ、…、ええ?」

「物欲しそうな目で見てたから、わざわざお前の為に買ってやったんじゃあないか。いらないのか?」

「いや、欲しいです!でもなんだか、実感が湧かなくて」

「実感?」

「だって、露伴先生からプレゼントもらうなんてそうそうありそうにないことだか…イタッ!」

感動でついいらないことを口走ってしまい、露伴先生にデコピンされてしまった。

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