ジョジョ | ナノ
午前中の一時限目を潰して行われたのは、中等部の生徒が亡くなったことを伝える全校集会だった。
面識があったわけでもないけど、泣いている生徒を見たら、その生徒の今までなんかを想像してしまうと悲しくなる。
黙祷の後に生徒指導の先生が下校時には気を付けるようにとの話があり、解散となった。
死因は不明、犯人はまだ捕まっていないらしい。
そもそも、犯人がいるのかどうかも分からないとのことだった。
それからずっとそのことを考えてしまい、勉強も手に付かない。
友人に帰るよと声をかけられるまで、放課後になったのも気づかないくらいだった。


「…あ、引きずってる」

「うおっ」

友人と寄り道をせずにおとなしくバスを待っていたら、暗い顔をした私を小突いた。
よろけてバス停看板にぶつかった私を友人はケラケラと笑った。

「痛い…」

「ごめんごめん、アハハ、アンタ暗い顔似合わないよ」

「分かってるけど、さあ」

「確かに治安も良くないし、悲しいニュースだけど、暗い顔してる名前見てるのも辛いよ。それに、これからまたバイトなんでしょ?」

「ホラホラ笑う」と二カッと笑ってる友人を見て、つられて一緒に笑った。
これから露伴先生の家に行くのに、暗い顔をしても嫌味をタラタラと言われるのがオチだろう。
それを想像したら苦笑いになってしまい、友人に頬を抓まれる結果になってしまった。
先に来た私の乗るバスが到着し、別れの挨拶を言って段差を上がるところで、「あ、でもアンタ気を付けてね。噂になってるんだけど、白い肌の手の女の子が行方不明になってるんだって」なんて恐ろしいことを言われる。
青ざめた顔で彼女を見たら、盛大に笑われてしまった。


露伴先生の家のインターホンを押すが、音が鳴ってしばらく経っても人が出てくる気配がない。
居留守を使われることもあったが、最近はちゃんと招き入れてくれたのに、…不在なのだろうか。
向こうから呼び出しておいてと怒りながら電話をかけると、10コール以上してから露伴先生が電話に出た。

「あのぉ…今どちらに?」

「外出中に決まってるだろ」

まるで当たり前のように言われたので、声色に出るように「私、今露伴先生の家の前なんですけど!」と主張すれば「はあ?」と返ってきた。

「…ああ、今日呼んでたな。あと10分待てよ、それまでに着く」

「も、…もう!バカ!怖いからはやく来てくださいよぉ!」

「怖い?まだ陽が落ちるような時間じゃあないぜ」

「…もう帰ります!ばか!」

返事を待たずこっちから電話を切ってやった。
ただでさえこの辺りは人通りが少ないのに、友人からあんな怖いことを言われては一人でずっといるなんて無理だ。
それなら駅前の商店街や家にいた方がマシである。
白い手の人が狙われるなんて噂でしかないが、杜王町の治安の悪さと行方不明者が多い今では不安でしかない。
しかも、どちらかと言えば私は色が白い。
ビビりで怖がりな性格の私は露伴先生を待ってる時間すらも辛かったため、駆け足でバス停に戻り無意味に足踏みしながら待っていたら、二分くらいで駅前までの循環線がやって来た。
駆け乗ろうとしたところ、腕を思いっきり引っ張られて乗り掛けたバスを降りてしまった。
突然過ぎる出来事に固まっていると、運転手さんはなにか空気を読んだかのような表情をして扉を閉め出発させてしまった。

「…ッたく。お前なあ、あんなにキレていたくせに随分と平気そうな顔じゃあないか」

「露伴先生…?」

「歩きで帰る予定だったのに、バスにまで乗ったんだぞ」

「…、なら、はやく言ってくださいよぉ」

はああ、と力が抜けるようなため息が出る。
露伴先生に小馬鹿にされるかと思ったが、そんなことはなく私の掴んだままの腕を引っ張って家へと歩き出した。

「電話を切ったのは誰だったか。…ほら、まだ帰るつもりか?」

「それ、歩く前に言う言葉ですよね」

「…いいから、帰るぞ」

「はいっ!」

ニコッと笑って見せれば、露伴先生は満足したような顔をした。

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