ジョジョ | ナノ

「なァ…名前のメイド服ってスカートの丈長すぎじゃあねーか?」


夕食後にそれぞれ自由な時間を過ごしている中、ホルマジオの一言から大論争に発展するなんて思ってもいなかった。


「そうかな…ヴィクトリアンメイドのはこのくらいで普通だと思うんだけど」


空になったサラダボウルを下げつつ、スカート丈を気にしてみる。
普通のスカートとしてみれば長いかもしれないが、仕事用の可愛さを重視しないヴィクトリアンメイド服としては標準的なスカート丈だ。
そもそも、この服は前の勤め先である某有名議員の家で支給されたものだし、他の服もメローネが勝手にくれたものなので私はスカート丈に関して全く関わっていないのだ。
「なにかあるならメローネにきいて」と言い残して最後の食器を洗い場まで持っていく。
ソルベとジェラートが手伝ってくれるらしく、私が食器を洗い、ソルベがそれを拭き、ジェラートが食器棚にしまうという分担制をとった。


ソルベとジェラートの息がピッタリあった会話を横で聞きながらも、やっぱり気になるのはスカート丈。
やっぱり短いほうが男性は喜ぶものなんだろうか、いやでも喜ばせるための服装でもないし、そもそもフリフリの可愛いメイド服が似合う顔ではない。
ぼーっとしてたのが災いして、何時の間にか後ろにいたメローネが私のスカートをたくし上げているのに気付くのが遅れた。
とりあえず洗剤のついたお玉で殴っておく。


「なにすんの」

「いや、フレンチメイドの丈だったらどうなるかなー…って」

「パンツは」

「今日は薄いピンクのレースだった」

「バカ」


お玉で二発目の攻撃をして、再度皿洗いを再開する。
メローネはキッチンの床に座り込み、ダラダラと向こうの状況を話し始めた。


「名前のスカート丈のことで白熱してるよ、向こう。誰が白熱してるか分かるか?プロシュートとホルマジオ、だけじゃないぜ、全員だ。驚きだろ?」

「プロシュートってとこでもうびっくり」

「短いとバンビーナを相手してるみたいで嫌なんだって。俺はそれもいいと思うんだけどね」

「変態。…あ、ありがとうソルベ、ジェラート。これで最後」


しっかり水を切ってからフォークの束を渡し、ジェラートがそれをしまい終わるのを待って二人にお休みの挨拶をする。


「名前も変なことに巻き込まれたな。ま、頑張れ」

「ムリに付き合わなくてもいいんだからな」

「ありがとう、私もすぐ寝るよ。お休み」

あの二人は明日の朝早くに任務に出なければならないから、いつもより早くに就寝するって言っていたのを思い出す。
濡れた手をタオルで拭って未だシンク下を背凭れに座ったままのメローネの手を引っ張って立ち上がらせると、その流れで抱きついてくる。


「俺がなんでヴィクトリアンメイドみたいなロング丈を選んだか、わかる?」

「趣味、でしょ?それかフランスが嫌いとか」

「んー、ハズレ。ヴィクトリアンメイドみたいな従順で無垢なイメージが、名前にピッタリだったからさ。そういうほうが、汚し甲斐があるってもんだぜ?」

「最低!…あ、泡ついてる。ちょっと屈んで?」


おそらく先程メローネを叩いたときについたのだろうが、あれはメローネが悪いから私は謝らない。
タオルで綺麗に泡を取って、若干メローネを引きずりながらリビングへと戻る。

そこでは、目を覆いたくなるような光景が広がっていた。
大の男がなにをそんな、メイド服でそこまで熱くなれるのか。
若干冷めた目で彼らを見つつ、もう寝ようと着替えを取りに部屋へと戻る。
いつもは彼らより遅くにシャワーを浴び布団に入るのだが、今日はもう仕事もなさそうだし先にお湯を頂いてもいいだろう。
ついて来ようとするメローネをペッシに預けて、シャワー室へと向かった。

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