「この背中に…」


ブラックゴースト(BG)の陰謀によって長い間内戦をしていた

008(ピュンマ)の生まれた国。ムアンバ共和国

00cTイボーグ達は陰で戦争を操るBGの存在を知り、見事BGを鎮圧し内戦を終わらせた

これは、帰還した後の002が足を負傷したまま、幾日かが過ぎたお話


***


今は夜

自分の部屋にいた009はベッドの中から窓の外に見える月を見ていた

暗い部屋は月に淡く照らされて青く浮かび上がる。今夜は不自然なほど静かだった

(…あれから3日…002は大丈夫だろうか)

009は002を気にして寝付けずにいた

(……気になる…)

009は数回寝返りを打ち、起きた

(少し覗くだけなら…)

もう寝ているかもしれないし迷惑かもしれないと、しばらく悩んだが、結局様子を見に行くことにした


***


(確かまだ療養中………明るい…?)

009は002を治療しているメンテナンスの部屋の扉から薄く漏れる明かりと話し声に気づいた

(…誰だろう)

009は部屋に入らずドアを少しだけ開いて様子を伺う

中ではギルモア博士が部屋の明かりを落として002の治療修復をしていた

治療に使われている機械の確認や調節をしていた

「よし…もういいじゃろう…明日には立てるぞ」

「…はい」

ドアを挟んで009は2人の会話を聞いた

「後はゆっくり休んで養生することじゃ」

「博士こそ…無理しないで下さいよ」

002はあまり人に見せないような顔で博士に労りを込めて優しく笑った

(…あんな顔も出来るんだ……っと)

博士が部屋を出ようとドアに近づいたので009はとっさに隠れた

静寂が辺りを包み009はどういって部屋に入ろうか考えた

その時

「…おい」

「!」

「誰かいんだろ…」

002は廊下側にいた009に声をかけた

009は驚きながらスッとドアを開けて部屋に顔を出した

「…気づいてたのか」

「009か…入れよ」

009は言われるがまま部屋へと入る。小さな椅子に腰をかけた

「…具合はどう?」

「聞いてたろ、明日には立てる…」

「そうか…」

「……」

「……」

特に話すこともなく2人の会話が途切れた

心電図だけが休まず動き続け一定の電子音を発していた

「お前の…」

先に口を開いたのは002だった





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