「ナルキッソスの恋」



初めて君(002)に会ったのは、僕(009)がBG(ブラックゴースト)から脱走して空中戦で敵を爆破して空に投げ出された時

君が腕をつかんで助けてくれた

その横顔は今も忘れられない


いつも君はつっけんどんな態度で皮肉った言い方をして

人に頼りたがらなくて意地っ張りで

弱音なんか絶対言わなくて



何より僕を好きに

ならなかった



驚いた。

そんな人間いないと思っていたから。

僕が微笑めばみんな勘違いして好かれようとするんだ


なのに君は…

元々人が嫌いなのかなとも思った

でも君は


本当は......


***


「002は優しいね」


「……あ?」



ここはギルモア邸

メンテナンスの為に僕達は集まった


今は003のメンテナンス中で順番待ちをしていてリビングに2人きり。他はまだ来ていない

002は今NYに暮らしていて会うのは久しぶりだった


「…俺が優しい?」

「うん」

「どこが」

「いろいろ」


僕はにっこり笑って見せた

「いろいろって…」

「君のそーゆーところ、好きだな」

「……」

僕は思ったことを口にしただけなのに、002は黙ってしまった

「002?」

「男に言われてもあんまり…」

「そうかな」


僕は“恋”なんて、知らなかった

だから


「君がはじめて」

「?」

訝しむ002に僕はまた微笑んだ


「……お前って…よく笑うよな…なにが楽しいんだ?」

「…クス」


ほらやっぱり。


君は僕を特別視しない

勝手な幻想を抱いたりしない

勝手に幻滅もしない


だから、僕でいられる

なんて、愛しいんだろう…


「ねぇ、002」

002は傍らにあったコーラを手に取り飲みかけて

「ん?」

「キスしていい?」

「ブゥッ!!」

吹き出した

「わわっ大丈夫?!」

「ゴホッゲッ!!」

コーラがこぼれてテーブルがベタベタになった

「あ〜あ〜あ〜」

僕はキッチンからテーブルクロスを持ち出して急いで拭く

「な、なんかごめんね?」

「ゲホッうぇっ」

「あ…服にも、ついちゃったね―」


僕はただ、拭おうとしただけなのに

「!!―ヤメッ」

002はぐっと僕を押し返した


その時の002は

なんだか、少し…


「…服、脱がされると、思った?」

「…違ッ」

怯えている様に見えた




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