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日本
都心から離れた海沿いの街
海と山との間にひっそりと男の目的地の邸宅があった。
肌寒い季節。海沿いの砂浜には誰もいない
そこへ手紙でアメリカから呼ばれた男が舞い降りた。砂が少し舞ってエンジンを切るとストンと砂浜に足をついた
「久しぶりだなぁ…」
砂浜を歩きコンクリートの階段を登りアスファルトの道に出た
車通りは少なく人ともあまりすれ違わなかった
「…平和だねぇ」
独り言をこぼしながら進みほどなくして邸宅が見えてきた。石垣に沿って歩き、外門から敷地内に入った
その時
「ぁ…こらー!待ちなさい!」
遠くない距離から叫ぶ男の声が聞こえた
「…ジョー?」
男が声の方、敷地内の庭へ向くと濃い茶髪の青年が走る子供を追いかけているのが見えた。
「あ、ジェット!その子捕まえて!」
子供はタタタとジェットと呼ばれたその男に向かって走りつづけて―
「ん!?―ちょぉわ!」
そのまま派手にぶつかって倒れた。ジェットも勢いに負けて尻もちをついた
「っててて…おい大丈…夫…―」
「…」
ジェットは子供の姿を見て絶句した。
太い眉にクリッとした眼。無表情ではあるものの、それはまるで目の前にいる青年と同じ顔だった。加えてジェットによく似た青い眼に長い赤毛
「もうだめだろ!勝手に走り出して!」
「!」
青年が叱りつけるが子供は無表情のまま青年を見つめた
「ハッ…ジョー!なんだよ、この子供!」
ジェットの問いかけにジョーと呼ばれた青年はにっこり笑って
「僕と君の子だよ♪」
サラッと答えた
「ええええぇ!!!!?」
ジェットはただ驚くしかなかった。
つづく
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