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アメリカ・NY

そこに暮らす男に一通の手紙が届いた。

差出人は「アイザックギルモア」

「…ギルモア博士からか…」

男はドアのポストから手紙を取ると半分開けた窓へ向かいズボンのポケットに入れていたタバコを一本取り出し口にくわえた。

ジャケットの懐を探りジッポを出しタバコに火をつけ吸う。煙を窓の外へはいた

「んー…どれどれ…」

手に持ったままだった封筒をペン立てから取ったペーパーナイフで開き手紙を取り出す。

「…んー?」

手紙には『すぐ来てほしい、理由は現地で話す』とあり下の方に期日と日本の住所が小さく書かれてあった。

「……一週間後か」

男は自分の暮らすアパートの部屋を見回し一週間後に向けて何を準備しようか考えて、

「…身一つで十分か」

準備するのを止めた

長い赤毛の伸びる頭をポリポリ掻き青い瞳はビル間に見える狭い空を眺めた。


***


数日後、アパートは引き払われた

「…次に戻った時はもっと狭くてもいいか…」

男は荷物を一切持たずに着の身着のまま博士の待つ別荘へ向かうことにした


ー数日前

男は日本の知り合いに電話をしたが―

『…はいもしもし田中です』

電話の主は男の知らない人だった。

『あ、もしかして前の住人の知り合いですか?…一週間前に借りたばかりなので…―』

どうやら知り合いはそのアパートを出ていたらしく行き先はわからないとのことだった。

「…あいつも呼ばれてんのかな…」

そんなことを思いつつ男は海の見える道路沿いへ向かった。

「こうゆう時だけは…飛べてよかったと思うぜ…」


彼は両脚ジェットエンジンを内臓した謂わば
”サイボーグ”だった

ジェットエンジンは勢いよく唸(うな)り火を噴く
。男はふわりと浮かびそのまま空高く舞い上がった

(燃料少ないから真っ直ぐ向かうか)

男は空を翔(かけ)た。




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