┗10

砂浜にいたジェットは、ただひたすら祈っていた

(…頼む…J…J…!!)

砂浜には人が多く、飛翔能力は使えない。不安でおかしくなりそうなのを必死で耐えてタオルを握りしめ2人を待ちつづけた

「…ジョー!」

波打ち際にジョーを確認すると服が濡れるのもかまわず海に入り負ぶさるJの様子をうかがう

「J!Jぇ!!」

Jは何の反応もなく首をうなだれている

「J!!お願いだから目を開けてくれ!!Jぇ!!」

ジェットはボロボロと涙を流しJを抱きしめた

「ジェット…」

ジョーは声をかけられずJに目をやった



『―――…ぇ……J…』

――……ママ

…ママ……が………


(………呼んでる…)



「…ハッ…ジェット、ジェット!!」

ジョーはJの指がかすかに動いたのを見逃さなかった

「Jが……」

「!…J!?」

ジェットが顔をのぞき込むとJのまゆがピクッと動いた

「―ウッケホッ!ケホッ!…ウエッ」

Jは自力で体内に入った海水を吐き出して薄らと目を開けた

「…ママ…」

「J…!!」

ジェットは笑顔で涙を流して心から安堵した



その後、2人は念のためギルモア博士に連絡を取りJを調べるためにギルモア邸へ向かった

「ちょっと体を診てみよう。J、ここに横になっておくれ」

「はぁい…」

ベッドに横になったJは疲れからか数分で眠ってしまった



ジョーとジェットは処置室の外で待たされた

「J…どこも悪くなきゃいいけど…」

ジェットがつぶやくとジョーはうつむいて辛そうな顔をした

「……ごめん…僕のせいだ…僕が目を離したから…一度岸に上げるべきだった…」

「…ジョー…自分を責めるなよ」

ジェットは俯(うつむ)くジョーの顔を自分に向かせて静かに話した

「…ジョーは、人を助けたんだ…悪いことじゃない…Jは…きっと大丈夫…だから」

気丈にジョーをフォローするジェットの声は微かに震えていた

(…君は…本当は…)

「ジェット…」

内心を悟ったジョーは優しく頬を撫でた

「怖かったね」

「!」

その言葉にジェットは下を向いて体を震わせた
。目から涙がポロッと落ちて耐えきれずジョーに身を寄せてグッと腕を掴んだ

「…俺…Jが…死んじまったかと思って…凄く…凄く怖かった…Jが死んだら…俺…俺は………うっ…うぇ…ぇえ…っ」

ジェットは感情を吐き出すように震える声で言葉をつむいだ。ジョーは泣き崩れるジェットの背中を優しくさすり抱きしめた




[ 215/325 ]

←[*prev] [next#]→

[一覧へ戻る]


[しおりを挟む]


トップへ戻る




トップへ戻る
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -