┗8
一方砂浜では
「おいあそこ、なんか様子がおかしくないか!?」
「子供が溺れてるわよ!?」
海水浴客がにわかにざわめきだし、ジェットがそれに気づいた
(子供…?)
ジェットは立ち上がり、海の方を見つめる
「あ!誰かが助けたみたいだぞ!!誰かライフセーバー呼んでこいよ!」
(…まさかJが!?)
ジェットは不安にかられ、様子を見に駆け出した。打ち際に向かってきた影に目を凝らし、助けたのがジョーだと気づく
砂浜に上がり女の子を座らせるとライフセーバーと女の子の家族がジョーに駆け寄り、礼をしていた。ライフセーバーに女の子を任せ、人だかりから抜け出すと、ジェットが立っていた
「ジョー、な、何があったんだ」
「女の子が溺れてたんだ、大丈夫、大事には至らなかった」
ジェットはほっと一瞬気をゆるめ、またハッとしてジョーに問いかける
「ジ、Jはどうしたんだよ」
「そんなに沖にはやってないよ、波で戻れるくらいの場所に…」
ジョーがJのいる場所を見た
が、そこにJはいなかった
「…J?!」
ジョーはもう一度目を凝らし、Jを探す
「!!…あの浮き輪」
ジェットは遥か沖に揺れる浮き輪だけを見つけた
***
さかのぼること数分前
「パパがんばれー!!」
Jは女の子を助けに向かったジョーを見ていた。ジョーが砂浜へ女の子を連れて行くのを見て、Jはホッと胸をなで下ろした
Jは少しでも砂浜に向かおうとして
「………あれ?」
どんどん離れていくことに気づいた
「…えっあれっ…パパー」
ジョーに声をかけようにもあまりにも遠くなり、届かない。Jはどんどん沖へ流され、足は全くつかなくなっていた
「…ふえ…」
Jは半泣きで、浮き輪にしがみつき、ジョーを待つ。そこに大きな波が押し寄せJを襲った
「!…きゃあっ!」
浮き輪は傾きJは手を滑らせて浮き輪を放してしまい海中に引きずり込まれた
***
「Jぇー!!!」
ジェットはとても信じられない様子で叫んだ
「どうしてっJ!!Jぇ!!!」
「ジェット、落ち着いて!」
ジョーは青ざめるジェットの肩を掴んで自分に顔を向かせた
「Jはバングルを、命綱を付けてる。浮き輪の近くにいるはずだ。僕がちゃんと連れて戻るから!」
「ジョー…」
「ここで、待ってて。ね?」
ジェットは泣きながら小さく頷き涙を拭ったた。ジョーはジェットを落ち着かせると、海に向かって走り出し、浮き輪を目指し泳ぎ始めた
→
[ 213/325 ]
←[*prev] [next#]→
[一覧へ戻る]
[しおりを挟む]
トップへ戻る