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一方砂浜では

「おいあそこ、なんか様子がおかしくないか!?」

「子供が溺れてるわよ!?」

海水浴客がにわかにざわめきだし、ジェットがそれに気づいた

(子供…?)

ジェットは立ち上がり、海の方を見つめる

「あ!誰かが助けたみたいだぞ!!誰かライフセーバー呼んでこいよ!」

(…まさかJが!?)

ジェットは不安にかられ、様子を見に駆け出した。打ち際に向かってきた影に目を凝らし、助けたのがジョーだと気づく

砂浜に上がり女の子を座らせるとライフセーバーと女の子の家族がジョーに駆け寄り、礼をしていた。ライフセーバーに女の子を任せ、人だかりから抜け出すと、ジェットが立っていた

「ジョー、な、何があったんだ」

「女の子が溺れてたんだ、大丈夫、大事には至らなかった」

ジェットはほっと一瞬気をゆるめ、またハッとしてジョーに問いかける

「ジ、Jはどうしたんだよ」

「そんなに沖にはやってないよ、波で戻れるくらいの場所に…」

ジョーがJのいる場所を見た

が、そこにJはいなかった

「…J?!」

ジョーはもう一度目を凝らし、Jを探す

「!!…あの浮き輪」

ジェットは遥か沖に揺れる浮き輪だけを見つけた


***


さかのぼること数分前

「パパがんばれー!!」

Jは女の子を助けに向かったジョーを見ていた。ジョーが砂浜へ女の子を連れて行くのを見て、Jはホッと胸をなで下ろした

Jは少しでも砂浜に向かおうとして

「………あれ?」

どんどん離れていくことに気づいた

「…えっあれっ…パパー」

ジョーに声をかけようにもあまりにも遠くなり、届かない。Jはどんどん沖へ流され、足は全くつかなくなっていた

「…ふえ…」

Jは半泣きで、浮き輪にしがみつき、ジョーを待つ。そこに大きな波が押し寄せJを襲った

「!…きゃあっ!」

浮き輪は傾きJは手を滑らせて浮き輪を放してしまい海中に引きずり込まれた

***


「Jぇー!!!」

ジェットはとても信じられない様子で叫んだ

「どうしてっJ!!Jぇ!!!」

「ジェット、落ち着いて!」

ジョーは青ざめるジェットの肩を掴んで自分に顔を向かせた

「Jはバングルを、命綱を付けてる。浮き輪の近くにいるはずだ。僕がちゃんと連れて戻るから!」

「ジョー…」

「ここで、待ってて。ね?」

ジェットは泣きながら小さく頷き涙を拭ったた。ジョーはジェットを落ち着かせると、海に向かって走り出し、浮き輪を目指し泳ぎ始めた




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