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2人が出した答えは
『実際に見に行こう!』
だった。
***
長く車を走らせ到着したのは白い砂浜が光る穴場スポット
穴場だけあって人は多くない。加えて夏休み前の平日。海の家には閑古鳥が鳴いていた
珊瑚や貝がらが砕けてできた砂は日差しを浴びて熱されて乾いている
「さぁ着いたぞ…ってJ!?」
車を出てすぐ、Jは砂浜に走った。足を踏み出すたびにサンダルが埋まり、駆け出すとザラッと音を立てて砂は一瞬宙を舞った
「…………」
立ち止まったJがまず感じたのは磯のにおいだった
車で海沿いを走っていた時、窓を開けて感じた時よりずっと強く香った
続けて耳を震わせる大きな波音。果てしない青はJの瞳と同じ色をしていた
「おおーきーぃ…」
その青は遠くまで続き、かすむ遥か先は空へつながっているようだった
「Jーあんまり遠くに行くなよー」
「まだ海に入らないでねー」
「はぁーい!」
後から来た2人の言う通りJはその場でペタッと座ると、白く乾いたヒトデやサラサラした砂をいじって、カサカサと動く巻き貝を見つけてビックリした
Jから少し離れたところで、ジョーとジェットは車から持ち出した荷物を広げていた。
くまの絵が描かれたレジャーシートを敷いて、風で飛ばされないように四隅に石や流木を置く。ジョーがパラソルを広げて、ジェットはバケットとクーラーボックスを下ろした
「よく晴れたねー…まぶしい」
「…風もあるし、気持ちいいな」
天候に恵まれ、2人は暖かい日差しと心地良い風に夏を感じた
「あれ、Jが戻ってきた」
さっきまで波打ち際でしゃがんでいたJが両手をキュッと結んで走ってきた
「ママーパパー!」
「どうした、あわてて」
「貝がね、動いたの!」
2人は目をぱちくりさせて顔を見合わせ、またJへ向いた
「…貝って、二枚貝が?」
「ぐるぐるの貝の方!見て!」
Jは結んでいた手を開いて持っていた貝を見せた
「持ってきたの?どれ…巻き貝だね…」
そこには何のヘンテツもない小さな巻き貝があった
「…あれ?動いてたのに」
ジョーはピンときたのかJにアドバイスした
「…J、その貝をそっと下に置いて待ってみようか」
「…」
小さな巻き貝をそっと置いて、3人はジッと待った
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