◆第五話 「〜summer〜Jと海」



◇〜summer〜Jと海◇



近くに波音が聞こえる広いアスファルトの道


「うーみーはっひろいーな♪おぉーきぃーなー♪」

道を行く車の中で子供が歌っていた。車の後部座席には2人、運転席に1人。助手席には荷物が置かれていた。3人家族が乗る車は目的地に向かってのんびりと走って行く

「J、続きは?」

隣に座る長い赤毛の男が歌の続きを促した

「えっと…」

子供が首を傾げると

「つーきーは昇るーし♪陽がしーずーむー♪…だよ」

運転中の茶色いセミショートの青年が歌って続きを教えた

「あ、」

窓の先は家族を乗せた車が走る、崖に沿って舗装された道路

さらにその先

「見えてきたな…」

ガードレールを越えた世界は青かった

「J、あれが海だよ」

「うみー!」

水をたたえ、生き物を育む世界が広がる

Jと呼ばれた子供は後部座席の窓を半分だけ開けて潮気をおびた風を感じた




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