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寝室はベッドと小さなサイドテーブルに片方の壁がクローゼットになっている殺風景な部屋だった。
寝具の布カバーと窓を覆うカーテンは同じデザインで統一されている
サイドテーブルには小さな卓上ランプと置時計、小説らしい本が一冊置かれていた
「…片付けたって言うけど、元はどんなんだったんだ?」
寝室に入った俺の質問にソイツは苦笑いしながら
「本と服で歩く場所が無かった」
素直に答えてくれた
「ハハッ頑張って片付けたんだな」
俺が笑って返すと
「うん。頑張った。」
真剣な顔つきで近づいてきてベッドサイドまで追い詰められていた
「え、と…」
誘われるまま寝室に来たのはいいがどうしたらいいか分からない
いくら互いの気持ちに気づいたといっても、キス以上のことがまだ想像できていなかった
「……」
ベッドまで追い詰められコイツの無言がなんだか怖くなってきた
「…やっぱ…止めよう…かな…なんて」
俺が半笑いで顔を反らすと、そっと引き戻された。
真剣な、でも優しい顔をしていた
「…カル」
落ち着いた静かな声が俺の名を囁く
「……名前呼ぶのは…卑怯だ」
キュンと胸が締め付けられてキスをされるまま受け入れ脱力していく体はゆっくり倒され徐々にベッドに沈んでいった
***
「ハァハァ…んっ」
なんだかすごく恥ずかしい
「……ちゅ」
「うっんん…」
男同士だし裸を見られるのは別になんともないんだが
「…ちゅ…ちゅ」
シャツをめくられ胸を触られて舌が肌を滑るだけでどうしようもなく恥ずかしかった
「なんか…ん…触り方…慣れてないか?」
「……」
「……シたこと…あるのか?」
ソイツは気まずそうに口を閉じて目をそらした
「…」
「そ、そうだよな、俺はすぐ召喚士になったけどお前はしばらく学校にいたわけだし、経験くらいいくらでも…」
ショックを隠したくて饒舌になった俺をやや赤面した苦い顔で見る
「ちがう」
「……」
はっきりと口に出して否定された。それだけで嬉しいのに
「考えていた、ずっと…お前とこうすること」
そんなこと、言われたら
「ハハ…スケベな奴」
すべて、受け入れたい。俺の全部をコイツにあげたい
そう思った
***
引寄せ抱き締める腕が、熱を帯びて汗ばんだ背中が
コイツのすること全部が俺を酔わせ動けなくする
「は…」
下半身の疼きを互いに慰め合い粘りのある水音が耳の奥を痺れさせる
「う、はあ…はぁ」
「…っ…」
こんな時ですら声を出さないコイツ
でも、明らかに呼吸は普段より乱れている
「ハハ…余裕ない感じ…なんか新鮮だな」
俺はなんだか嬉しくてポソッと呟いた
「……お前もな」
聞き逃せない距離から囁かれ、直後ソレを強めに刺激された
「うあっ!ちょいきなり反則っ」
「……」
「あっうっ…っ…んんっ」
声を抑えるに必死になって手が離れる
コイツはそれを見逃さず互いのソレをまとめて掴むと更に刺激した
「ふあっ!?あ、あっ!」
余裕を剥ぎ取られた甘い喘ぎは自分の声とは思えないほど濡れて耳をジンと熱くする
「やめっ…っ…んんっ」
必死に口を押さえ刺激に耐える
無意識に腰が浮く。気づいても止められない
「んっフゥッフッンンーッ!」
下半身の刺激に追い討ちをかけるようにソイツの舌が胸の先に…
「ヒぅッ!う…あ、ぁ」
恥ずかしい気持ちが熱さで朦朧としていく
「ふぁ…ぁ…んあぁ」
体が痺れ声を抑えきれない。
「アッアッ…ア…ッ」
自分じゃなくなっていく気がして怖くて、でも止めてほしくなくて、頭がぐちゃぐちゃになって無意識に涙が滲んでいた
「…カル」
「んハァッ…ハァハァ…」
意識が飛びそうになる寸で刺激は止まりソイツの心配そうな顔が見えた
「…止めるか」
意地悪ではなく本気で心配している
わかっているのに
「やめんな…バカぁ」
余韻で痙攣する体は疼きに耐えかね腰がヒクつく。震える声を絞り出し涙目で睨み付けた
「こんな時まで…言わすな…っ」
俺ばかり晒されて、余裕がなくなって振り回されて、気遣う余裕があるコイツに腹が立った
「……」
許しを請うように宥(なだ)めるように唇を額に寄せて目元に、頬に、徐々に下がってキスされた
「ん…ぅ」
うなじを軽く舐められて、直後抱き締められ耳元に息がかかった
「……止められなくなると、思った」
「…ぇ」
「傷付けたくない」
顔を向けると、かなり眉を歪ませた苦しそうな表情のソイツがいた
「……」
コイツにも余裕がない
そう思ったらなんだか嬉しくて
「俺はそんなヤワじゃないから…だから」
「……」
「止めるなんて、言うなよ」
そっと俺からキスした
「…――」
直後荒っぽく抱き締められて
「アッ!」
その後の記憶が飛んだ
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