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アイツが瞬く間に実力を発揮し四堕神討伐に本格的に乗り出して、四堕神であるマクスウェル、カルデスと討伐していき三体目、ゼバルアを倒そうと乗り出した時


俺がやらかしてしまった


ゼバルアの神徒メアの謀略により俺は敵の手に落ち幽閉されてしまい、アイツに心配をさせてしまった

結局俺はアイツを含む仲間たちに助けられゼバルア討伐も完了したんだが

「……」

エルガイアへの帰路で俺を見つめるアイツの苦い顔が心苦しかった



「なぁ、お前ん家、行ってもいいか。」

「!」

「今回のお礼、忘れてないぜ」

「……」

エルガイアに戻り、クエスト中にした約束通りお礼のためアイツの家に行くことにした

アイツは少し驚いた顔をしていたけど、すぐに頷き承諾してくれた

「報告書さっさと済ませて色々買って持っていくから、7時ぐらいな」

討伐メンバーが解散し俺は召喚院へ、アイツは冒険者の村にある自分の家へ向かった


(久しぶりに酒でも飲もうかな…)

俺は親友と久しぶりに飲めると思い少なからずワクワクしていた

報告書は少し雑になった



***



報告書をまとめ王都ランドールで買い物を済ませ俺は急いで親友の家に向かった

酒や食料の入った紙袋を抱え速足で街を抜け冒険者の村に到着しアイツの家を目指す。気づくと駆け出していた

「ハァッハァッハァッ…」

家の前に着き息を整える

「フゥーー……」

ドアの方を向いて軽くノックした。

ややあってドアが開いた。私服らしいラフな格好で出迎えられた

「待たせてすまない。色々買ってたから…飯は食ったのか?」

俺の質問にソイツは首を横に振り

「まってた」

短く返された。

「…そ、そうか、俺もまだ何も食べてなくて」

あまり喋らないコイツがちょっと話すだけで、なんというか、落ち着かない気持ちになる

「色々買ってきたんだ。一緒に食べようぜ」

俺はニッと笑って紙袋を見せた

「…」

ソイツはドア側によけると家に入るよう俺に促した。静かに微笑み返された

「おじゃましまーす」

俺はドアをくぐり家に入った。背後からパタリと静かに戸が閉まる音がした


 
***



招かれた部屋はダイニングキッチンになっていた。

無地のカーペットの上にシンプルな低いガラステーブルが一卓、壁際にはL字に配置されたソファがあった

小規模なキッチンには食器棚と冷蔵庫、トースターくらいしか目立った家具家電は無く、部屋全体が同じ色調で統一された簡素な部屋だった

(綺麗に片付いてるんだな…学生寮出たばっかだからか…?)

部屋を軽く見渡しふとアイツがいないことに気づいた

「…別の部屋か?」

俺はとりあえず紙袋をキッチンに置き中から食料を取り出した

しばらくするとアイツは戻ってきた

「?…なんだそれ…服?」

ソイツは手にもったシャツを見せると俺の胸を指差した

「え……あ。」

俺は急いで報告書と買い物を済ませたため防具を着たままだった。ほとんどの時間をこの格好で過ごすため重さに慣れてしまっていたからか着替えるのをすっかり忘れていた

「ハハッ、着替え忘れていたみたいだ」

ソイツは呆れた様子でフッと笑いシャツを差し出した。『着替えたら』と言っているようだった

「貸してくれるのか、すまないな」

俺はシャツを受けとるとダイニングに移動して防具を外し始めた。ソイツはシャツを手渡し終えるとキッチンに向かいなにやら料理を始めた。始終こちらを見ることはなかったのだが俺は何となく背を向けて着替えた

防具はソファの横、カーペットの上にまとめて置いた。借りたシャツは少し大きめで首元が緩く着心地は悪くなかった

「フゥー…脱いでみると防具の重さが分かるな…肩が軽いよ」

俺は両肩をまわしてから今着ているシンプルなシャツに目をやった

(…アイツの匂いがする)

俺はちょっとソワソワした

「……」

俺の着替えが終わったのを見計らうようにソイツはこっちに振り向いた。大きめの皿を二つ持ってきてトントンとテーブルに置いた

皿にはキノコと野菜のパスタが盛られていた

「え、もう作ったのか?」

俺が驚くとソイツは得意気に笑い、キッチンに戻るとグラスを二つと俺の持ち寄ったワインボトルを嬉しそうに持ってきた

「久しぶりだな」

穏やかな顔で言うとワインオープナーでコルク栓を抜き始めた

嬉しそうなソイツの顔をしばらく見つめ、買ってきた食料を思い出した

「あ、俺、合う肴も買ってきたんだ、食うよな?包丁借りるぞ。あと皿も」

俺は急いでキッチンに置いたチーズやサラミを取り出した

「ありがとう」

背中から聞こえる声が、なんだか嬉しくてこそばゆかった



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