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Jは握っていたアルベルトの服の服をそっと離して、その手をぎゅうっと胸の前で握った

「またきてね…」

寂しそうな表情でお願いするJにアルベルトはJと同じ目線になるようにかがみ微笑みかけ肩にポンと手を置いて静かに頷いた

「また会う日まで、元気でな」

それだけ言うとアルベルトはスッと立ち上がり振り向き様に、ニッと笑った

「カーッコイーイ☆」

Jはキラキラと目を輝かせブンブン手を振った

ジョーは「またか!」と言わんばかりにムスッとして

(ジョーって分かりやす…)

ジェットはその表情ですぐジョーの内心を理解し、苦笑した


そして、白銀の来訪者は、約束を残し去っていった。

「行っちゃった…」

「さぁJ、もうお風呂に入って寝る時間だ。今日はママとな。」

「はーい」

「…ねぇジェット、今日は3人で入らない?」

「さんにんー?」

「え?何だよ急に」

「いーからいーから!」

「ふ…せいぜい株上げ頑張れば、パパ」

「な、何のことかな?」

「ふふ…J今日は3人でお風呂だぞー」

「おふろー!」

はじゃぐJをジョーが抱き上げ3人はまた家族だけの生活に戻った

ジョーはパパ人気向上に躍起になりジェットの笑いを誘った


***


運転中

帰路についたアルベルトは流れる町の灯りを見ながら思いを巡らせていた

(遅くなったな…博士、心配していなければいいが…)

「……」

沈黙の中、ふとよぎる過去に亡くした恋人

(…子供…か…)

もし自分が結婚できて子をもうけていたらどうなっていたのだろう

あの2人のように、ジェットのように優しく微笑むことが出来たのだろうか

そんなことを想像して

「……ふ」

すぐに止めた

(過ぎたことだ…彼女は戻らない……でも、あんな幸せも悪くないな…)

アルベルトは悲しみを胸に抱いてでもどこか穏やかな表情をしていた



夜の街を過ぎて、静かになっていく景色

進む先に海が見えはじめ、まだ赤紫が残る空に星が光る

揺らめく海面は月を写して、跳ねた魚の波紋が月を揺らめかせた


ギルモア邸までの道

アルベルトはJと2人の穏やかな生活と幸福を

囁かに願った




つづく

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