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「今度はぼくが聞く番だ。なぜ、そんな顔をする。お前たちは悪いやつのはずだ。」
ティズは幼さの残る、しかし凛とした通る声で二人に投げ掛けた。
009は悲しそうにうつむいた002を一瞥し、ティズに振り向くと一歩前に出た
「僕たちは君と同じようにBGによって改造されたサイボーグだ。けれどBGの企みを知り反旗をひるがえした。君たちからしたら裏切り者に映るだろう」
ティズは眉をひそめグッと身構えた。009はひるまずまた一歩前に出る。
「だが、信じてほしい!僕たちは悪ではない!君のいるBGこそ戦争の火種を撒く闇の商…」
ティズは更に眉をつり上げSPガンを構えた。
「嘘をつくな!BGが、スカール様が悪人なものか!今だって突然武力行使を始めたA国の悪い首謀を倒し一つの国に統制するため活動している!」
ティズの言葉に二人は驚きながらも理解した。
「君は騙されている!A国のサイボーグマンはBGが」
009が返そうとした瞬間、基地内は地鳴りの様な音と共に小刻みに揺れた。
「っと、なんだ!?」
「爆発音…基地の外からだ」
辺りを警戒ししばらくすると二人が侵入に利用した門の方からA国の兵士が現れた。バタバタと響く足音にサイボーグマンも数体雑混ざり基地内に殺到する。
「こちら第五班!武器基地を発見!情報通り制圧されている模様!」
基地内の様子を見た隊長らしい男は無線に向けて話し009達を見つけると敬礼した。
「潜入お疲れさまでした!制圧感謝いたしま…うあああ?!!」
男は二人を確認し隣に立つティズに気づくと驚き叫び、気づいた兵士たちも叫び狼狽えた。
「まだいるぞ!子供型兵器だ!うう撃てぇ!」
男の叫びに近い命令に兵士たちが銃を構えた。ティズは静かに兵士たちを見渡すと少し屈み、
「……」
次の瞬間消えた。
「なっ!?」
それを目の当たりにして全員が騒然とし、疾風が横切り兵士たちが持っていた銃が次々に壊れた。コンッと音をたて砲と引き金の間から綺麗に割れてゆき同時にサイボーグマンがバタバタ倒れた。
「か、」
「加速装置…」
002が言葉を失い009が呟いた
兵士たちが壊れた銃を持ったまま倒れたサイボーグマンを見てパニックになり始めた頃ティズは姿を現し
「死にたくなければ逃げ帰るがいい!」
投げ掛けるように大声で言い放つと二人に振り向いた。
「ティズ…」
「う、わああぁあ!」
兵士たちが壊れた銃を放り逃げ惑う中、先ほどの隊長らしい男だけは恐怖におののいた顔で腰のホルスターから予備の拳銃を出しティズに照準を合わせた。
「ティズ!あぶない!」
「!?」
002の叫びと発砲音は同時だった。
ティズが振り向いた時、隊長の男は腰を抜かし倒れ必死に逃げようとしていた。
「……なぜ」
ティズは視線を上に向け、ティズを庇うように腕を広げ銃弾をわき腹に受けた009の背中を見た。
「ジョー!」
「ヒッヒィイイッ!」
男は叫びながら背を向け転びかけながら逃げていった。
「…怪我はないか、ティズ」
009は振り向くとティズを見おろした。
ティズは苦い顔をして009の焦げ跡の付いたわき腹を見た。
「この防護服は並の銃弾じゃ傷つけられない。衝撃はそこそこあるけどね」
「……」
009がニコッと笑うと今度は悲しそうな戸惑った顔を向けた。
「ティズ、君は悪くない。」
「………」
「君は知らなかっただけだ。BGの正体を、スカールの目的」
009が言い終える前にティズは悔しそうに目をつぶり拳を握った。
「でも!スカール様はぼくのッ」
ティズが言いかけて今度は基地の上部から爆発音がした。けたたましい音が響き天井が粉砕され瓦礫となって降り注ぐ。
「今度は上からかよ!!」
002が叫び009はティズをティズは崩れる天井を見た
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