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ティゼは突然涙目になって叫んだ

「嫌です!まだ、壊してない!」

どうやら脳内通信で誰かと通話しているらしく傍受はできなかったがティゼは言うことを聞かずに駄々をこねている様に見えた

「!―無人機が来たぞ!」

空を見ると無人機が三機迫って来るのが見えた

「危ないネ!」

二機が先行し搭載したマシンガンの照準が自分達に向いていることに気づいた006は拘束されたままの008を担いだ。マシンガンが唸りティゼから三人を遠ざけ、監視塔で待機している兵士たちを翻弄した

残りの一機がティゼの頭上を旋回し

[目的は果たした。いい子だから戻ってきなさい。]

「……」

ティゼは拗ねた顔で手を上げると一番太いワイヤーを打ち上げ無人機にくっつけワイヤーを巻き上げて宙に浮いた

ティゼが乗り込んだ無人機が的にならないよう残りの二機が旋回し、そのうち一機は兵士たちが撃墜した

「……あんなのがあと何体いるってんだ…」

007の呟きに二人は無言で遠ざかる無人機を見た


***


「…」

無人機の中でティゼは無言のまま壁際のシートに座り膝の上で手をモジモジさせていた

[怪我は無かったか、ティゼ。]

脳内通信にティゼは答えず、しばらくして立体ヴィジョンが現れた

「スカール様…」

スカールの立体ヴィジョンはティゼの前で片膝をついて顔を撫でる仕草をした

実際には触られていないがティゼは少し表情を和らげ

「ティゼ…この手、嫌い。でも、スカール様が良い手っていうから…頑張る…」

ティゼは目を閉じて触れないスカールの立体ヴィジョンに顔を寄せた



***



ティゼがA国から回収された頃

003、004はB国に潜入し軍部拠点が見える茂みにいた。兵士からは見えない距離から003が超視覚を使い全体を見渡す

「見えるか003」

「ええ、ジャミングも無いし…ほとんどが一般の兵士ね…武器庫も何ヵ所かあるけれど…本当なのかしら…子供型の兵器なんて」

003が怪訝そうな顔をして拠点を見る

「…悪趣味なのは間違いないな。」

004は自分のハンドガンを見て弾を確認しカシャッと装填しなおした

003が偵察を続けると後方から小さな物音がした

「!!―004!!」

突然003が004を突飛ばした

直後レーザーのような高温の光線が004の頬をかすって地面に着弾し土を溶かした

二人が振り向くと数メートル先にティゼと同じような防護服を来た少年がレーザーの射出口のある右手のひらを構え立っていた

「そんな…いつのまに…」

「アレが子供型の兵器か…」

004が身構えSPガンに手をかけ003は少年を見つめた

「……あの子」

ダークグレーに白のメッシュが混じったセミショートの少年は無表情で手を下ろすと無言のまま二人に向かって走り出した

「やる気か、受けてたつぜっ」

004が003の前に立ちSPガンを構えマグナムを撃つ

少年は弾を避けながら走り続け左手をピッと伸ばすと肘から腕がバラッと分かれてカッターの形に変型し、それを盾に避けきれない弾を凪ぎ払った

「ハッ!ロボットとはいえ最新型は違うな!」

004がレーザーカッターを構え受け身の体勢をとり

「ダメよ!!004!!」

003が叫び驚いた004が一瞬出遅れカッターをぎりぎりで受け止めた

金属のぶつかる音が響きチキチキと火花が散る

「……」

少年は右手のひらを向け004はレーザーが放たれる前に少年を押し返し突飛ばした

003に半ば睨むように振り向き叫んだ

「003なぜ止める!!」

しかし004の怒鳴り声など聞こえていないかのように003は少年を見つめ

「009に知らせなきゃ…」

真っ青な顔で呟いた

少年は右手をついて砂煙を少し上げて着地し尚も突っ込もうと前を向く

「相手がその気な以上、攻撃をやめるわけにはいかないだろうがッ!!」

004がハンドガンを構えると少年はまたカッターを盾にした

「同じだと思うなょ!!」

004は構えたカッターに弾を一点集中させ刃を砕いた

「―!!」

004はそのまま撃ち続け肩口に集中させた

少年の体は弾丸を受け痙攣したようにガクガク揺れて左腕が吹き飛んだ

少年は片膝をつくと右手で傷口を抑え

「……強いですね」

ぽそっと呟いた。




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