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Jはトタトタと歩いてピタッとアルベルトの前で止まった。同時にアルベルトとジェットがJに気づき何をするのかと見つめる
「?」
ジェットが首を傾げるとJはアルベルトを真っ直ぐ見て声をかけた
「アルベルトさん!」
「おぉ…な、何だい?」
アルベルトは驚きながらもぎこちない微笑みで返しJは抱えていた本をぱっと出して
「ご本よんで下さい!」
目を輝かせてお願いした。
「Jそんな、いきなりじゃ…アルベルトが困っちゃうよ」
ジェットがたしなめるとJはクルッとジェットへ向いて
「でも、でもアルベルトさんカッコイイんだもん」
と、小犬のような目でジェットを見上げた
「う」
ジェットが困っているとアルベルトはスッとJの頭を撫で
「どれ、読んであげよう…」
さっきよりも優しい笑顔で返した
「わぁい!!こっちでよんで下さい!」
「っと、引っ張らないでくれ、J」
目を輝かせたJはアルベルトをリビングのソファに引っ張り交代するようにジョーがダイニングのイスに腰掛けた
「カッコイイ…か」
「なに、ヤキモチ?」
ジェットが楽しそうに訪ねジョーは面白くなさそうに
「まぁ、ね」
そう短く答えた
「クス。妬いちゃだめよ、パーパ」
ニコッと無邪気に笑うジェットにジョーは抱きつこうとして
「ジェッ…へぶ!」
ひじ鉄をくらった
「ん…大丈夫そうだな」
アルベルトのつぶやきは
「?」
Jにだけ聞こえた
***
夕刻
朱く染まる空に数羽のカラスが飛んでいた
公園で遊んでいた子供たちは友達に手を振り長い影を道に落として家路につく。家々に暖かい明かりが灯りはじめていた
「…ハインリヒ、僕たちそろそろ夕食の準備をしたいんだけど、そのままJを頼めるかい?」
ジョーがエプロンを着けながらリビングにいるアルベルトに話しかけた。アルベルトは顔をあげて穏やかに答える
「…まだ読み途中だし、支障はない。」
「夕食、君の分も作るから食べていってくれるだろ?」
「ああ、有り難く頂くよ」
まるでトゲのない会話を交わしキッチンに入るジョーをジェットが追いながらアルベルトへ振り向いた
「わりぃな、アルベルト」
「気にするな。思ったより楽しいし…Jはいい子だし」
「えへへー」
Jに笑いかけるアルベルトの姿はとても穏やかで優しさに溢れていた
「…ん。よかった。じゃ夕飯作るかんなー」
ジェットは静かに2人を見て微笑みジョーにつづきキッチンへ入っていった。
アルベルトは本の朗読に戻った
***
「……『そして、2人は末永く幸せに暮らしました。めでたしめでたし。』」
「めでたしー」
読み終えた本を閉じてアルベルトはJを見た
「…ママにそっくりな髪だね…」
サラッと撫でた髪はジェットによく似たキラキラした赤毛
「うん!Jこのかみ大好き!」
にっこりするJにアルベルトはふと聞いてみた
「…J、オレはJのパパに、なれないかな?」
Jは目をパッと開いてアルベルトを見た
「アルベルトさんがパパ?」
「うん。そしたら毎日絵本も読んであげられるし、一緒に遊べるよ」(ジェットも取り返せるし)
Jは首を傾げた
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