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ギルモア博士はしばらく黙り重く口を開いた
「皆は『A.I.00』シリーズを覚えているだろうか?」
博士の言葉に002の心拍が上昇する
「…数ヶ月前、その情報が一部ハッキングされた。機械と人工生体組織で構成されるメカニックボティの情報だ。恐らくブラックゴーストの新兵器はそれらの情報をモデルにした……子供型の…」
博士がそこまで言いかけて002は会議室を飛び出していった
「ジェット!」
009がすかさず後を追い、皆はざわめきながらも二人を追わず見送った
「無理も…ないな」
004が小さく呟いた
***
002はギルモア邸の近くにある砂浜に立っていた。海の方を向き握りしめた拳と肩が震えていた
後ろから009が近づき声をかける
「ジェット、大丈夫?」
「……」
「ハッキングがあったのは事前に聞いていたけれど…まさかこんなことに…」
009が言いかけて
「…あんちくしょう!!許せねぇ!!」
002は怒りに任せ声を荒げた
「なんで子供型にする必要があんだよ!!兵器なら他にいくらでもあんだろがよ!!」
「………」
「00の…Jの記憶を…情報を悪用するなんて…なに考えてやがる…ちくしょう」
002は泣いていた。砂浜にポタポタと涙が落ちていた
『J』は「A.I.00」の試験体として最初に作られたロボットだったが、一年以上家族として過ごした二人にとって我が子のような存在であり、004やBGの首謀スカールまでも可愛がり愛した存在だった
002は決して汚されるべきではない大切なものを踏みにじれたような、そんな憎悪を感じていた
「ジェット…僕たちは、知らなければいけない。そして戦わないと…」
009の言葉に002はしばらく黙り、涙を拭った
「行こう。これ以上、彼らを野放しには出来ない」
009がを002の背を見つめ
「…ああ…そうだな…あいつらの謀略なんか、構ってられねぇ…敵は倒す。それだけだ」
002は振り向き009の方を向いた
戦いに向かう戦鬼の顔だった
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