◇第一話 「子供たち」
手に入れたはずの平穏は、当たり前のようにほころび、また戦いが始まることを知らせた
はじまりはいつも些細なこと
例えば、ギルモア邸にかかった一本の電話
―リリリリリリン、リリリリリリン、リンッ、ガチャ
「もしもし…ああ、私だが…―なに?ハッキング?」
ギルモア博士は受話器を握りしめ顔を曇らせ、通話を続けた。
***
過去、開発され社会現象となった新たな労働の担い手「A.I.システム」
完全自立型学習ロボットの誕生に世界はおおいに湧き賞賛した。
元BG(ブラックゴースト)の研究員だったギルモア博士はサイボーグ部門におけるロボットパーツと生体融合の知識を買われ、「学習特化型A.I.」と「人間のような完璧なボディ」を兼ね備えたロボット、「A.I .00」製作の中心人物として研究を行い、数年後に臨床実験のち完璧な「子供型A.I.」を完成させた
しかしそれによる影響は強く、マイナスの結果を生み、生産は中止、行方不明の6体を残しての全面回収という結果に終わった。
しかし、研究結果はA.I.システムの貴重な資料として今でも研究所に保管、厳重に管理されている
はずだった。
***
「分かった…漏れた情報は一部なのだな?他の情報は警備システムの強化、もしくはネットワークから切り離しアクセスブロックしてくれ」
ギルモア博士は通話相手に指示を出すと受話器を置いた
「……なぜじゃ…なぜ今更…『J』の…」
博士は窓辺に歩み寄り空を眺めた
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