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先頭に立っていた隊長が合図を送り働き蟻が5×20に整列

その周りに等間隔で兵隊が囲み隊長蟻が前に立ち列に向いて一度見渡すと声を張り上げた


「本日の獲物は前方にある新芽である!まず、兵隊蟻により伐採、のち解体、運搬を開始する!!」

隊長蟻の後ろには他のナズナに比べると小さく葉も育ちきらない新芽が立っていた。

蕾はまだ青々としていて、白い花弁は見えない

でもアタシたち蟻からすればとても大きな収穫になる

アタシは気を引き締めて新芽を見つめた



***



兵隊蟻が数人新芽の一方向に集まり腰から鋭木刀(補足:木を鋭利にした刃物。この場合は刀)を抜くと集中して幹を斬り始めた

幹の1/3まで切れ目を入れ終えるとその方向を目印に今度は反対側を容赦なく斬り始めた

目印をつけた時よりも新芽は大きく揺れて時々蕾などが落下してくる

あまり大きくない葉とはいえ高さにもよっては衝突するととても危ない

働き蟻は落下物の心配がない場所まで離れていて兵隊蟻は上を見ながら避けている


「やっぱりすごいな…兵隊様たち…」

アタシはみるみる細くなる幹に驚いていた


順調に作業が進む中

不意に風がそよいだ

ザァッとナズナの森を吹き抜ける新芽を含むナズナを揺らし葉を数枚を千切った

隊長蟻はそれを見てバッとアタシたちを見た


「落下物注意!!」


隊長蟻の指示に場がざわめき緊張した

「きゃぁ怖い!」
「やだ、こっちくるの?」
「あたったらどうしよう」

動揺するアタシたちの方へ葉が迫る

そして

何枚かが列に直撃した

「きゃああ!!」
「わぁあ!!」

高い位置からの葉は地面にめり込むほどの威力があった

その場にいた仲間は辛うじて避けたようでアタシはホッと胸を撫で下ろす


「ニィコ!!危ない!!」

「え」


アタシは仲間ばかり見ていて、真上から迫る葉に気づかなかった

「きゃあぁあ!!」


思わず伏せた瞬間

ドザァアッと葉が地面に落ちる音がした

でもその音はアタシの左右2ヶ所からした


「…………」

恐る恐る目を開けると葉は二つに切れていてアタシの目の前には…



「大丈夫か…ニィコ」


鋭木刀を構えた兵隊蟻

アンジェリカ様が立っていた






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