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説明会の日
アタシたちは、国の一角にある養成所に集まり、運搬部隊の主な役目についての説明を受けた
教壇に経つ指示蟻が壁に貼られた木の葉に黒色石で描かれた周辺地図でルートや地域の特性を説明する
運搬部隊には専属の護衛の兵隊蟻がつくことや国から離れていればいるほど兵隊蟻の数は多いことも教えられた
(………)
アタシはこれからやっていく仕事のことより、どんな兵隊蟻がつくのかが気になっていたが、その日は説明を聞くのが精一杯だった
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次の日
つまり運搬部隊として仲間たちと地上に出る日
地上に集まった縦横10列で構成された運搬働き蟻100匹
その横に等間隔でつく兵隊蟻
数は働き蟻の1/5(20匹)ほどだがその威厳ある風体はとても心強い
「二列ごと、先頭にならい、進め!」
号令と共に二列ずつ歩き出し長い列となり進んでいった
運搬部隊は列の過剰な乱れや大きな声での会話以外には特に規定はなく私語も許されていて皆リラックスした状態で仕事ができる。
疲労や体調不良の場合は申し出をし伝言ゲームの要領で先頭まで連絡が行く。
そうなると運搬部隊長と兵隊長に届き対応がなされるが働き蟻はとても丈夫なのでそのようなことは滅多になかった
「イアン、今日の目的地は近い場所よね」
「たしか、『ナズナの森』よ」
ナズナの森は女帝国からそう離れていない森で白い花を咲かせるナズナが群生している
今日はその森のナズナの新芽を一本倒し解体して葉と蕾、茎を運ぶ予定だった
「危険が少ないから、兵隊様は狩りをして帰るかもね」
狩りとは他の虫の捕獲を意味して大抵は生け捕りで持ち帰り解体室で処置がされる
国の大切な資源、栄養源であり女帝への献上品でもあった
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