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アタシたちはしばらく沈黙した

「…私は――」

アンジェリカ様が何か言おうとして

「ニィコ!ニィコー!」

「…イアン」

「ニィコ、もうすぐ消灯だよ。就寝室に帰ろ」

「あ、う…うん」

シイナ姉さんから逃れたイアンが割って入って途切れた


イアンはアンジェリカ様を一瞥してアタシの手を取ると歩き出した

アタシはアンジェリカ様に振り向いた

手を振って送るのが見えてアタシは軽く頭を下げてイアンに引かれるままその場を離れた



就寝室に向かう途中もイアンはアタシの手を放さない

「イアン、歩くの早いよ」

アタシが言うとイアンは振り向かず立ち止まり

「…何話したの」

そう短く聞いた

「え」

「あの兵隊様と何話したの」

「何って…アタシは話を聞いてただけだったよ。」

「…何か言ってた?」

「…アタシとご飯食べられて嬉しいだって…なんだか変よね」

「そうだね」

アタシは正直に答えイアンもそれ以上は追求しなかった



「ごめんね、引っ張って。行こ」

「う、うん」


イアンは手を離すとこっちを向いてニコッとした

何かを隠しているような笑顔だったけど、アタシは気づかないフリをした



***



働き蟻用の寝床『第2就寝室』にたどり着きアタシたちは壁に空けられた等間隔の就寝スペースに入った

そこは番号が割り振られたツインの部屋で個々でカーテンとして葉や花びらを垂らしたり内装を飾ることができる

いわば個人の生活空間だった






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