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それから数分して

車からフリスビーを取りに行っていたジョーが戻ってきた



「…あれ、J寝ちゃったの?」

「何か疲れたみたいで」

Jは座るジェットに身を預け、スースー寝息をたてていた

2人は苦笑いで、でも嫌な気持ちはしなかった

「…寝顔、可愛いね…」

「…ジョーにそっくりだぞ?自己愛じゃねぇの?」

「むっ自分の寝顔は自分じゃ見れないでしょっ」

「そりゃそうか…」

クスクスと楽しそうに笑うジェットに、ジョーは優しく話しかけた

「…ジェット、大好きだよ」

スルリと頬を撫で、赤毛を愛でるジョーの手

「―…うん、知ってる…ふふ」

ジェットは手を添えてその手にすり寄り頷いて幸せそうに笑った

「―……」

ジョーは、その時の笑顔が今日の中で一番愛しいと思った


***


車での帰路

ジェットは後部座席で、眠ったままのJと一緒に座った。バスケットなどは助手席に載せた

「ジョー、本当に運転代わらなくてよかったのか?」

「うん、疲れてないから、それにジェットは日本じゃ無免許だから、警察に見つかったら言い訳できないよ」

「…そっか」

ジェットはポスッと背もたれに寄りかかり、窓の外を見た。日は傾き、綺麗なオレンジ色が辺りを包み始めていて

世界は輝き、時々見える桜の木も、今は他のすべてと同じ色に染まっていく

「……綺麗だなぁ」

ジェットがぽつりと言うと、ジョーが話しかけた

「ジェット、」

「…ん?」

「子供っていいね」

「なんだよ急に」

ジェットは軽く笑いながら聞き返した

「育てるって与えるばっかりだと思ってたけど…もらうこともあるんだなぁと思って」

ジョーは感慨深く話し

「―…」

ジェットは黙って聞いた

「僕たちに当たり前のことがJには新鮮で、だから見方も違って、僕たちにその見方を気付かせてくれる…」

ジョーの言葉にジェットはドキッとした

「…俺、脳内の…無線通信機使ってた?」

「え、使ってないよ?どうしたの急に」

ジェットはジョーが自分と同じことを考えていた事に驚いた

ジェットは驚いたまま、ジョーの意見に答えた

「…俺もそう思うよ」

「え?」

「…Jには、教えてもらうこと、たくさんあるって」

「…………」

同じ意見

同じ気持ち

「…気持ちが繋がるってこんな感じなのかな…なんか、…嬉しいな」

ジェットが言って、ジョーは

「………」

無言になった

「ジョー?」

「う、うん。かもしれないね」

「…」

ジェットはミラー越しにジョーの顔を見た

そして

「ぷっ…ジョー夕焼けより赤いぞ、トマトみたい。」

赤面したジョーの顔を笑いながら例えた

「ジ、ジェットが嬉しいなんて言うから!いつもはキモッとか言うのに違うから!」

「だからって、くく…ジョー、オーバーなやつ」

「だ、だって、だってぇ!」

ジェットは楽しそうに声を出して笑った

ジョーは赤面したまま、ジェットに抗議し続け
、それがまたジェットを笑わせた



車での帰路、夕焼けに染まる世界

そして夜が訪れ、一日の終わりを告げる



新しい、始まりのために





つづく


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