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置いて行かれたアタシとアンジェリカ様


「…座っても…?」

アンジェリカ様は席を指差し

「…どうぞ」

アタシはやや緊張しながらコクンと頷いた





「ゆっくり食事をとるのは久しぶりなんだ。しかし、また会えるとはね」

アンジェリカ様はモモ肉を手で豪快に千切って口に放り込む

アタシは砂糖水を小さく掬って口に入れる

「いいんですか?久しぶりの食事なのに働き蟻と一緒になんて」

アタシの質問にアンジェリカ様はニコッと笑って

「確かにお前は働き蟻だが、そんなことは気にしていない。私はニィコと食事が出来て嬉しく思う」

優しい口調で答えてくれた


「……」


蟷螂から助けてくれた時のことが頭の中で蘇り胸がドキドキする

真剣な眼差しと力強い腕の感覚が今も残っている

頼もしく、優しく、雄々しいアンジェリカ様

アタシの命の恩人


好きになるには充分で…

でも

イアンが言ったことが、アタシに疑念を抱かせた


「…ニィコ?私と一緒の食事ではつまらないか?」

「いえっそんな」

「…そうか、よかった」

「…」


アタシはずっと引っかかっていたことを聞くことにした



「兵士様は…どうしてアタシを助けたんですか?」


アンジェリカ様はしばらく黙って



「…助けられると思ったから」

そう短く答えた


「…でもあんな危険を侵してまでアタシを助けるメリットなんて…」

私が言いよどむと、アンジェリカ様は真剣な表情で首を振る


「お前は仲間の危機を感じ現れた勇気のある蟻だ。それに…」

アタシは首をかしげた

「お前はとても愛らしい。私はニィコが好きになった。死なせたくなかった」

「え……」

交わる視線、アンジェリカ様の目はアタシを映している

アタシは顔全体が真っ赤になっていた

「じょっ冗談はやめて下さいっ!」

アタシは恥ずかしくて恥ずかしくて頬を隠し少し身を引いた


「…ふざけて言ったつもりじゃないんだが」


キョトンとしたアンジェリカ様をアタシは直視できず、下を向いてしまった

「だってそんなっ変です、一瞬見ただけでなんて…!!」


「一目惚れは信じないタイプか?それに一瞬見ただけというわけでは…」

ふっと口をつぐむアンジェリカ様にチクッと何かが引っかかっる




「……いつから見ていたんですか?」


アタシは聞かずにはいられなかった






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